はじめに
AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。本日は50代・60代のアラ還世代に向けて自宅の筋トレメニューに「懸垂(プルアップ)」を取り入れると色々メリットがありますよ、という記事です。
このサイトで過去に何度か筋トレメニューを紹介していますが、背中の種目として何を載せるかは毎回悩んでいます。単純にトレーニングとしての有効性だけを考慮すると懸垂が一番なのですが、あえて紹介してこなかった理由があります。本日はその理由も踏まえつつ、懸垂に的をしぼってご説明していきたいと思います。
この記事のポイントは、以下3点です。
- 筋トレ種目として「懸垂」は超優秀!
- アラ還が「懸垂」することのメリット
- 懸垂が1回もできない人が懸垂をできるようになるテクニック
では、本日もよろしくお願いします。
自宅で背中を鍛えるのは案外難しい
以前からあんじょうは「50代・60代は身体の前面よりも背面の筋肉を鍛えましょう」と言ってきました。ですが、自宅で背中の筋肉を鍛えるのは、胸を鍛えるより種目選択の観点で難しいのです。以下に理由を説明しましょう。
背中の構造は複雑
胸に比べて、背中の構造は複雑です。胸は「大胸筋」だけが目立っていますが、背中には大きく「僧帽筋」と「広背筋」「脊柱起立筋群」の3つがあり、その他目立つもので言えば「大円筋」などもあります。
言い出すと「小円筋」・「棘下筋」など他にもあるのですが・・。
背中を鍛えるためには、これらの筋肉のどれを優先するのか、あるいはどうやって総合的に鍛えるか、ということを意識しなければなりません。
背中の筋肉は強い
背中の筋肉の役割は「伸ばした上腕を体幹側に引きつける」あるいは「上体を起こす・固定する」作用がメインとなります。
柔道やレスリングなど、相手と組む格闘技を想像してもらえればわかりやすいと思うのですが、これらの腕を引いたり体幹を固める力は、人間の身体を動かすことができるレベルですので結構強いです。
そのため、背中の筋トレには強い負荷が必要です。胸の場合、自重トレーニングでも腕立て伏せであれば体重をリヨうして数十kgの負荷を与えることができます。しかし、背中の筋トレで同じように体重を利用しようとすれば「自分の体を重力の反対方向に動かす=身体を浮かせる」必要があります。
また、ダンベルなどのフリーウェイトを使う場合でも結構重たい重量のもの(女性で10kg〜、男性なら15kg〜)を用意する必要がありますので、初心者に準備していただくのは少しハードルが高いように感じます。
そのため、当サイトでは筋トレ初心者向きの背中のトレーニングとして、主に脊柱起立筋群を鍛える「スーパーマン」を紹介させていただいています。
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器具を使えばバリエーションは増える
器具を用意せず、初心者が手軽に行える種目としては「スーパーマン」が良いと思うのですが、この種目の特徴は「それほど関節が稼働しない」ことです。
筋トレの基本に「筋肉を発達させるためには最大負荷を最大可動域で動かすこと」というのがあります。「スーパーマン」はこの観点ではいまひとつ、ということになります。
そこで今回は器具を使う前提で、より効果的な背中の種目として「懸垂」を紹介させていただきます。
50代・60代にとっての懸垂のメリット
背中の鍛え方には大きく2種類ある
一般に、「背中に厚みをつけるには前から引く種目(ロウイング系)、広がりをつけるには上から下に引く種目(プル系)が良い」とされています。
「厚みをつける」とは所謂「ムキムキ」な印象になる、ということで「広がりをつける」とは所謂「逆三角形」になる、ということです。
50代・60代の方が「かっこいい身体」になるには、バストとウエストの差をつけて逆三角形の上半身になることを優先させたほうが良いので、プル系の種目を優先して選択するのが良い、ということになります。
そのプル系の代表的な種目のひとつが「懸垂」ということです。
懸垂のメリット
先に結論を書きますと、懸垂のメリットは以下3点になると思います。
- 最大伸長・最大収縮:バーを持つ手幅を工夫すれば、広背筋を最大限に引き伸ばし・収縮させることができるため、筋トレの効果の最大化が期待できます。
- 多くの筋肉を動員:身体を持ち上げると同時にバランスもとらねばならず、揺れる身体を制御することで多くの筋肉を動員することになります。これにより筋肉への刺激が最大化するとともに消費カロリーも稼げます。
- 簡単な器具があれば自宅でも可能:「懸垂バー」や「チンニングスタンド」が必要にはなるのですが、必要最小限の支出で高い効果が得られます。
上記のメリットについて少し補足説明させていただきます。さきほど「プル系の種目がおすすめ」と書きましたが、このプル系の代表的な種目には「ラットプルダウン」というものがあります(下図)。
これはこれで良い種目なのですが、まずマシンを利用する前提の種目だということがネックです。また、「最大伸長・最大収縮」の観点でいえば、座る姿勢で腰・臀部の筋肉が伸びた状態のラットプルダウンより、脚を組み身体を反らせた姿勢(=腰・臀部の筋肉が収縮した状態)の懸垂のほうが筋肉の収縮度合いは高いと考えられます。
また、マシントレーニングでは動作の経路が固定されているため、経路やバランスを調整するために筋力を使う必要がなく、フリーウェイトトレーニング(ダンベルや自重によるトレーニング)に比べ、相対的に筋繊維の動員される割合は低くなると言われています。
このような理由から、ジムでトレーニングされている方の中でも、ラットプルダウンのマシンがあるにも関わらず敢えて懸垂をされている方は多数おられます。
マシンを使わずゴムバンドを利用してラットプルダウンを行う方法もありますが、これはまた別の機会に・・
50代・60代に懸垂をおすすめする「もう一つの理由」
前章でトレーニング種目としての懸垂のメリットを説明させていただきましたが、50代・60代の方に懸垂をおすすめするのはもうひとつ理由があります。
その理由は「ストレッチ効果」です。
50代・60代の方でしたら、若い頃に「ぶら下がり健康法」が流行ったことをご記憶の方も多いと思います。まさにアレですね。
両手でバーにぶら下がると、自然と大胸筋・広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋群・腹筋群は自分の体重で「縦に引き伸ばされた」格好になります。数十kgの力でじわっとストレッチする種目というのはなかなかありません。
これにより、猫背・巻き肩・腰痛などが改善され、姿勢が整うことで「かっこいい体型」に近づくことが期待できます。
もちろん、筋トレとしての効果も期待できます。50代・60代になって高負荷(高重量)のトレーニングはするべきではない、という見解をよく耳にしますし、あんじょうも基本的にはそのスタンスなのですが、懸垂に関しては比較的リスクが少ないため、アラ還世代にもおすすめできると考えています。
スクワットやデッドリフト、ベンチプレスやショルダープレスのように「押さえつける力に抵抗する」トレーニングの場合は、高負荷(特に、高重量)で行うと腰を中心にリスクが大きいと思うのですが、「引き伸ばそうとする力に抵抗する」トレーニングの場合はそのリスクは相対的に低いと思っています。
懸垂の方法
基本の方法
懸垂のやり方は以下のとおりです。
- バーを肩幅より拳ひとつ程度広い幅で握る。握る際は人差し指側より、小指側に力を入れる感覚で。
- 顎をバーに近づけるのではなく、身体を反らせて胸をバーにつける感覚で引き上げる(肩がすくまないように注意)。引き上げたところで、肘を腰に向けて引き付けるつもりで締めるとなお良し。
- ゆっくり降ろす(2〜3秒)。
- おろしたところで力を抜かない(脱力してぶら下がった状態にならない)。
これを繰り返します。「1セット=持ち上がる限界回数まで」で3セットが基本ではありますが、筋トレ初心者の方ですと数回が限界かと思いますので、限界がくれば後述の「1回も上がらない人はどうすれば良いか?」に記載されている方法で追い込むと、より効果的です。
なお、「肩幅より拳ひとつ程度広い幅で胸をバーに近づける感覚で」動作することにより、広背筋をメインとしつつも僧帽筋にも効かせることができるのですが、この手幅を変えることで刺激の入り先が変わります。
手幅を狭くすると、僧帽筋の関与が少なくなり広背筋への刺激が強くなります。また、手幅が狭いほうが広背筋はより伸長されるため、その点でも広背筋への刺激は強くなります。色々な手幅を試していただき自分が鍛えたい場所に刺激がいく手幅で行っていただければ良いと思います。
1回も上がらない人はどうすれば良いか?
懸垂は負荷が強いので、「1回も上がらない」という方も多いと思われます。ここでは、そのような方が懸垂の効果を得るテクニックについて紹介します。
少しは持ち上がるが、上がりきれない(上腕と脇の角度が90度未満にならない)場合
身体を持ち上げる補助として、トレーニング用のゴムチューブを用います。ゴムチューブの片方を脚で踏み、もう片方を懸垂のバーにひっかけて、体重がゴムの力で軽減するように使います。ゴムの長さや強度を変えることで加重が調整できます。
輪になっているゴムチューブの場合は、バーに括り、足をかける。輪になっていないゴムチューブの場合は両手に縄跳びのように持った上で、その手でバーをつかみ、垂れたゴムに足をひっかけると良いでしょう。
まったく持ち上がらない場合
まったく身体が持ち上がられない場合は、踏み台を用意し、以下のやり方にチャレンジしてみましょう。
- 踏み台にのって腕を曲げた状態で懸垂バーにぶら下がる
- 踏み台から足を離し、4秒程度かけてゆっくり腕を伸ばして身体を下ろす
- 身体が降りきったら素早く踏み台にのり、再び腕を曲げた状態で懸垂バーにぶら下がる
これを繰り返します。できれば、体幹と上腕が90度になった状態から120度になるくらいまでを「ゆっくり」動かすと、より効果があがるでしょう。
懸垂でまったく身体を持ち上げられない方でしたら、最初はこの方法で数回もやれば下ろすのに4秒我慢できなくなるかと思います。2秒我慢できなくなるまでを1セットとし、1〜2分の休憩を挟んで計3セット繰り返します。
ギアのご紹介
懸垂バー・チンニングスタンド
懸垂を行うのに最低限必要なのが「ぶら下がるためのバー」です。一番手軽なのは「懸垂バー」なのですが、もう少し本格的に行うなら、チンニングスタンドを購入するのも良いでしょう。最近はデザイン的に優れたものも多数でています。
チンニングスタンドは昔ながらの「ぶら下がり健康器」にレッグレイズ(腹筋群)やディップス(大胸筋)ができる機能をつけたものが一般的です。
なお、「懸垂バー」については以前に記事を書いていますので、こちらもご参照ください。
パワーグリップ
懸垂を行う際、背中の筋肉が疲れる前に握力が力尽きて背中の筋肉に十分刺激を与える前に動作ができなくなるケースが多々あります。そのため、握力を補助するギアとしてよく使われているのが「パワーグリップ」です。これについては以前に記事を書いていますので、是非ご覧ください。
まとめ
以上、今回は「懸垂」のメリットと、現在懸垂ができない方でもトレーニングメニューに取り込んでいく具体的方法について説明させていただきました。
自宅で懸垂をしようとすると、最低限の器具は揃える必要があるのですが、それだけの効果は期待できますので、是非チャレンジしてみてください。それでは今回はこのへんで失礼します。お読みいただきありがとうございました。
- 背中の広がりをつくり逆三角形の体型をつくる種目として「懸垂」は超優秀!
- アラ還から始めても、ステップを踏めば「懸垂」はできるようになる。初めは「ぶら下がるだけ」でもOK!
- ただし、五十肩など、怪我を抱えている方は要注意。
最後に参考までに…。最近は場所をとらないデザイン性に優れた懸垂スタンドも出てきています。興味を持たれた方は以下のバナーから是非ご確認ください。「日本の職人技」を感じます。
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