はじめに
AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年のライターあんじょうです。この記事では我々50代・60代のアラ還世代が筋トレで怪我をしないための対策についてご紹介します。
中高年になって怪我をしてしまうと最悪の場合、思うような筋トレができなくなってしまいます。そのような事態を避けるよう、この記事を参考にしていただきたいと思います。本日もお付き合いください。
筋トレにおける怪我の怖さ
一言で「怪我」といっても「器具の取り扱いを間違えて外傷を負う」ケースと「無理な負荷がかかって体を痛める」ケースの2種類があると思います。
特に危険なのはウェイトトレーニングでバーベルやダンベルなどのウェイトを扱うトレーニングをしている場合です。2kg〜3kg程度の軽いダンベルであっても誤って足に落としてしまえば靴の上からでも骨折しかねませんし、バーベルを用いてベンチプレスやスクワットを行う場合ですと状況によっては命を落とすような事故につながります。
2023年9月19日 Yahoo!ニュース「男性がバーベルで首を圧迫死! ジムの安全性に注目」
/https://news.yahoo.co.jp/articles/f7bdce4955d6ed2df1053982e7bd934db3fa6c2d
このような「命に関わる怪我」についても十分気をつけねばなりませんが、これは別の機会にお話しすることにして、今回は「無理な負荷がかかって体を痛める」ケースを中心にお話したいと思います。
このケースでは命に別状はないとしても、日常生活に支障をきたす可能性は高いですし、50代・60代になると怪我の治りも遅いです。怪我を庇うことで体の違う部位に不調が連鎖することもありますので、油断は禁物です。しっかり予防対策を講じて安全に筋トレを行いましょう。
筋トレで怪我をしやすい体の部位
筋トレで最も怪我をしやすいのは「関節」です。筋トレは意図的に「身体に負担(荷重)をかけて、それに抵抗することで筋肉を鍛える」ものですから、当然身体を構成する筋肉や骨格、関節などには負担がかかります。あまりに負担が大きいと骨が折れたり筋肉が断裂したり…といったことも起こりますが、そこまでの負荷を自ら課すことは常人にはなかなかできません。一方、関節については「普段曲げられない方向に無理に曲げる」や「伸びない方向に伸ばしてしまう」といったことがちょっとしたはずみやミスで簡単に起こってしまいます。
特に気をつけたいのが「腰」と「肩」です。その他の部位ももちろん気をつけねばならないのですが、「腰」と「肩」は特別に気を付けるべきですし、一番発生しやすい場所でもあります。
50代以上の人は筋トレしていなくても腰と肩が不調な人も多いのでは…?
そうですね。だから腰と肩が重要だ、ということは同世代の皆さんには直感的にも共感いただけると思うのですよね。
50代・60代の方であればご自身がギックリ腰や五十肩の経験をお持ちであったり、そうでなくとも周囲の知人の方からお話しを聞くことも多いと思います。「腰を痛めて歩くのも困難だ」とか「肩を挙げることができなくなり、家事が思うようにできない」といった話です。
こういったお話から恐らく想像いただけると思うのですが、腰を傷めると立って行う筋トレ種目はほぼできなくなりますし、肩を傷めると上半身を鍛える筋トレ種目はほぼ全てできなくなってしまいます。また、前述のギックリ腰や五十肩同様、日常生活にまで影響が及んでしまいかねません。
年齢を重ねると、筋力の衰えと同時に関節周りの組織も衰えてきます。体組織全体が弾力性を失い怪我をしやすくなっていますので、自分の体の変化を自覚した上で、適切な方法で負荷をかけることを心がけることが大切だと思います。
次項から筋トレで怪我をしやすいシチュエーションと怪我予防のための対策について説明したいと思いますが、ここではひとまず「関節の怪我には注意!」ということをご記憶ください。
50代・60代が筋トレを楽しむためには、何よりも怪我をしないこと、特に「関節の怪我を防ぐこと」が大切
筋トレで怪我をしやすいシチュエーション
筋トレで怪我をしやすいシチュエーションには大きく以下の3つがあると思われます。
その1:自分の筋力に見合わない重量・負荷でトレーニングする
このシチュエーション、若い頃に運動されていた方が、当時得た知識をそのまま今の自分に適用してしまう…というパターンがありがちかもしれません。
今の50代・60代が青春を過ごした30〜40年程前ですと筋トレに関する情報も世の中にはあまり出回ってなかったので、「筋力はつくかもしれないが怪我のリスクも大きい」トレーニングが多数推奨されていました。若い頃ならまだしも、同じトレーニングを50代・60代になってからやると即、怪我に繋がってしまいます。以下に一例を挙げさせていただきますが、こういったトレーニングを実践されている方はできれば見直しをお勧めします。
- 高重量・低回数のフリーウェイトトレーニング
…1〜3回の挙上が限界の重量でベンチプレスやスクワットを行う。 - プライオメトリクス系のトレーニング
…「ボックスジャンプ」「ジャンピングスクワット」などのジャンプ系種目や「バーピー」や「プライオプッシュアップ(腕立て伏せで腕を伸ばした際に空中で手を叩く)」など、地面に手を勢いよくつくことになる種目。
その2:ポジションやフォームが適切でない
例えばスクワットなら「しゃがんで、立ち上がるだけ」、プッシュアップ(腕立て伏せ)なら「うつ伏せになって腕を曲げ伸ばしするだけ」と考えていると思わぬ怪我につながります。
フリーウェイトトレーニングの場合はダンベルやバーベルの持つ位置や体の重心の位置、肩や腰の位置などを意識しないと意図していない部位(関節)に強い負荷がかかってしまい怪我につながります。
また、「その1」と関連しますが、最初は正しいフォームでトレーニングできていたのに、限界ギリギリの重量・回数にチャレンジした結果、フォーム(左右のバランス)が崩れ左右片側の関節に無理な負荷がかかり怪我につながる、といったこともしばしば発生します。
トレーニング動作前の準備段階で油断する
トレーニング動作中は気をつけていても動作前後に油断が生じて怪我をするケースもあります。特にフリーウェイトトレーニングで重めのダンベルをラックに戻す際や、バーベルのプレートを付け替える際に「重たいものを持っている」という意識が希薄な中で動作してバランスを崩し腰や肩を傷めるということもありますのでご注意ください。
日常生活で「ぎっくり腰になってしまった…」といった話を耳にしますが、そのうち半分程度は「なんでもないタイミングでふとした拍子に」起こっているように感じます。筋トレにおいても同様のことが起こり得ると考え気をつけていただければと思います。
実は先日、ダンベルベンチプレスをするためにベンチに座った姿勢でダンベルを床から膝まで持ち上げようとしたのですが、姿勢が悪かったため腰を痛めてしまいました…。お恥ずかしい。
筋トレで怪我をしないための対策3選
対策1:種目選択と重量・負荷設定を適切に行う
自重トレーニングの場合、プライオメトリクス系の種目は避ける
まず第一に避けていただきたいのは、ジャンプなどで衝撃が加わるプライオメトリクス系の種目です。インターネットでYouTubeやブログを視聴すると自重トレーニングで「ボックスジャンプ」や「プライオプッシュアップ」などの記事を目にしますが、これを50代・60代の方…特に肥満傾向の方が実行されますと膝、肘、腰、肩、手首・足首などの関節に大きな負担がかかります。
自重だけで負荷が足りない場合は、立ち上がったり腕を伸ばす際のスピードを速く、戻す際のスピードを遅くするだけでも負荷が強くなります。関節に衝撃を与えない方法で負荷を強くする方法はいくつかありますので、そちらを優先させるようにしていただくことをお勧めします。
フリーウェイトトレーニングの場合、5回以下しか反復できない負荷設定は避ける
一般に「筋力アップや筋肥大のためには高重量(3回〜5回程度の反復が限界の重さ)を扱わなければならない」という説がYouTubeやブログでは一般的です。あんじょう自身もこの説は正しいとは思っているのですが、必ずしも必須条件でもないだろうと思うのです。10回〜15回の反復が限界の「中程度の重量」であっても「限界まで反復する」ことを守れたならば筋肉は発達します。厳密に言えば筋肉の発達スピードには差が出るかもしれませんが、怪我をしてトレーニングができなくなることを思えば、50代・60代は「急がば回れ」を心がけるべきだと思います。また、どうしても高重量のトレーニングがしたい場合はジムでマシンを使って行うことをお勧めします。マシントレーニングでは負荷のかかる方向がマシンによって一定に保たれていますのでフリーウェイトや自重トレーニングのように「思わぬ方向に力が入る」ことがありません。それだけでも大幅に怪我のリスクを抑えることができます。
対策2:適切なポジションやフォームでトレーニングする
トレーナーの指導を受ける
トレーニングの種類に限らず、動作するフォームが間違っていると怪我につながりやすくなります。例えば、「腕を曲げて押す」動作を例に挙げてみましょう。この動作はフリーウェイトトレーニングではベンチプレス、自重トレーニングでは腕立て伏せ(プッシュアップ)などが該当します。この動作をする場合、肘を張りすぎる(=腕と胴体の角度が90度に近くなる)と肩の前面を怪我しやすくなります。怪我を予防するためには、肩甲骨を下制して、腕と胴体の角度は60度〜80度くらいに抑えておく必要があります。
こういったコツはインターネット上や書籍にも多数解説されていますが、文章を読んで正確に理解できるかどうかは個々人の知識量や各文章の表現力に依存してしまいますので、できればしっかりとしたトレーナーの指導を受けていただくのが一番だと思います。
(残念ですが)指導を受けるトレーナー選びは慎重に
少し前の情報になりますが、昨今の筋トレブームでトレーニング指導中の事故・怪我が増加しているという報道がありました。
2023年7月2日 読売新聞オンライン「筋トレ個別指導で重傷事故相次ぐ、専門知識ないトレーナーも…相談者の9割女性」
/https://www.yomiuri.co.jp/national/20230702-OYT1T50017/
現在の日本では資格がなくとも「トレーナー」にはなれますし、中には知識の乏しいトレーナーも残念ながら少なからずいらっしゃるようです。ジムやトレーナー選びは慎重に行いたいものです。
以前の投稿でジム選びについて書いたものがありますので、よろしければそちらもご覧ください。
対策3:トレーニング動作以外でも油断しない
…これは説明の必要はないかもしれませんが、忘れがちな点です「災いは忘れた頃にやってくる」ので、気をつけましょう。特にダンベルやバーベルなどのフリーウェイトを片付ける際、動作後で息が上がっていたり、放心状態になっていたり(言い過ぎですが)する中でふとした瞬間に油断が生まれます。是非気をつけていただければと思います。
最後に
今回は50代・60代が筋トレで怪我をしないための対策を中心に説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
あんじょう個人の話で恐縮ですが、トレーニングしているときは
若い頃とそれほど変わらない。むしろ今のほうが筋力があるよなぁ?
…と感じることもあるのですが、怪我をした際の治りの悪さに年齢を感じます。
50代・60代の我々は怪我に対し多少神経質になるくらいでトレーニングを重ねる方が結果して目標達成の近道になると思うのです。筋トレライフ、先はまだまだ長いのでどっしり構えて参りましょう。それでは、今回はこのへんで失礼します。本日もお読みいただきありがとうございました。