AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。
50代・60代のアラ還世代の方でしたら、日々肩こりや目の疲れに悩まされている方も多いかと思います。
中には、「筋トレしているのに、なぜ肩がこるのだろう」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
本日は、現代人の多くが該当し、不調の原因になりやすい「巻き肩」についてチェック方法や解消方法をご紹介したいと思います。
巻き肩や猫背というと、世間的には改善策としてストレッチを紹介する記事が多いように思いますが、この記事では、背中の目立ず小さな筋肉「棘下筋」に着目してみたいと思います。
棘下筋?聞いたことがないな?
…という人も多いかと思います。少々マニアックな筋肉ですが、身体にとっては大変重要な役割を担っていますので、この記事を読んでいただいたことを機に覚えていただければと思います。
以下に該当される方は是非お読みください。
- 肩こりや姿勢の悪さが気になる人
- 筋トレをしているのに肩がこる…という人
- 「体を整える」ことに興味のある人
なお、記事のポイントは以下のとおりです。
- 「巻き肩」の原因は複数ある。スマホやノートPCをよく使う人は要注意。
- 筋トレで「体の前面」ばかり鍛えがちな人も、実は要注意。
- 自分が「巻き肩」かどうかは、鏡でチェック。見れば一発で判断できるポイント2つ。
- 改善策は生活環境の改善とストレッチ、筋トレ。この記事では「棘下筋」の活性化を提案。
それでは参りましょう。
「巻き肩」とはどういう状態か
「巻き肩」=肩が前に出て内旋した状態
まず、そもそも「巻き肩」とはどういう状態かを押さえておきましょう。
文字通り「肩が巻いた」状態なのですが、もう少し正確に表現すると、「肩甲骨の位置が左右に広がり」「上腕骨が内旋している」ことで「肩関節が体の前に寄った」状態と表現できると思います。
こういう状態になると左右の肩甲骨の間の筋肉、すなわち僧帽筋や菱形筋が伸ばされたままの状態で凝り固まってしまいます。
「巻き肩」と「猫背」は別の状態を指すが、大抵は併発している
「巻き肩」と混同しがちな姿勢に「猫背」があります。
「猫背」は頭・首が定位置より前に出てしまい、胸椎が定位置より丸まってしまった状態を指します。すなわち、「胸椎が丸まっている」のが猫背、「肩が内旋している」のが「巻き肩」なのですが、この2つは、たいてい併発しており、
両方を一括りにして「猫背」と言われることも多いように感じます。
どちらも、背中側の筋肉、僧帽筋や菱形筋が引き伸ばされた状態で凝り固まることで、肩こりや目の疲れなどの不調の原因となります。
体調への悪影響のほか、見た目も老けた印象に
「巻き肩」、「猫背」は肩こりなど体の不調に直結しますが、もう一つ、直結するものがあります。
それは「見た目」です。
「百聞は一見に如かず」ですので、図でお示しします。図は、複数の体系で「通常」と「猫背・巻き肩」の状態を比較したものです。
いかがでしょうか。体型は一緒なのに、老けた印象になることがご理解いただけるかと思います。
このサイトでは50代・60代のアラ還世代が、年齢なりに「カッコいい体」でいられるような情報発信を心がけていますので、ここは看過できないポイントです。
「巻き肩」の原因
生活習慣が主な原因
「巻き肩」の原因として、一般には「デスクワーク時の姿勢」や「就寝時の姿勢(横向き寝)」が挙げられていることが多いように思います。また、最近では「スマートフォンを見る際の姿勢」も挙げられています。
あんじょうとしては、スマートフォンより、たちが悪い(?)のはノートパソコンを使ったデスクワークだと考えています。
ノートパソコンを使ったデスクワークは、以下の点で最悪です。
- ノートパソコンは画面とキーボードが一体であるために、画面と顔を一定の距離に離すと、キーボードを叩くために腕は前に出がちになる(=肩が前に出てしまう)。
- キーボードを叩くために、手のひらを下に向け肘を左右に張った状態(=上腕の内旋)で、体の前面中央に寄せなければならない(=肩甲骨が左右に広がる)。
- ノートパソコンの画面を見るために顔は下を向かざるを得ない(頚椎・胸椎が前屈する)
手の位置や目線についての自由度が高い分、スマートフォンの操作の方が、この姿勢よりは「マシ」と言えるかもしれません。
筋トレが原因になることも(!)
もう一つ、残念なことに「筋トレ」が原因になることもあります。
筋トレで特に男性がやってしまいがちなのが「胸や腹筋など、体の前面ばかり鍛える」ことです。
逞しい大胸筋や割れた腹筋など、体の変化がわかりやすいので、ついつい熱心に鍛えてしまいがちですが、体の前面・背面の筋力バランスが崩れると、巻き肩・猫背の原因になります。
大胸筋は上腕骨に付着しており、上腕の内旋を担う…つまり「巻き肩になる」方向に働きますので、大胸筋が筋トレで強くなっていたり、凝って縮んでいたりすると、上腕骨は内旋したポジションに引っ張られます。背面の筋肉群も大胸筋と同じように強化されていれば外旋する力が働きバランスが取れるのですが、そうでない場合は、巻き肩になってしまいます。
余談になりますが…。ボディビルのポージングも腕を内旋させるようなポーズが多いので、体を鏡に映してチェックすることが多い方は、ポージング姿勢が日常生活において癖にならないように注意した方が良いように思います。
「巻き肩」の簡易セルフチェック
ここまで、「巻き肩」の原因について説明してきましたが、皆さん、心当たりはあるでしょうか。以下に簡単なセルフチェックをご紹介しますので、自分が巻き肩かどうか、確認してみてください。
セルフチェック1:肩の位置は正常か?
- リラックスした状態で、鏡に対し体の側面が映るように立つ。
- 耳の位置から真っ直ぐに下ろしたラインと肩の骨の位置を比較。
- 肩の骨が、耳の位置より前だとアウト
この方法ですと、首が前に出た状態(俗に言う「スマホ首」)ですと、耳の位置も前に出ていますので、肩の骨が前に出ているにも関わらず「耳の位置より前」にならない可能性があります。
その点を考慮し、もう一つチェック方法をご紹介します。
セルフチェック2:肘の向きは正常か?
- リラックスした状態で、鏡に対し正面を向けて立つ。
- 肘の関節の「内側」の位置を確認。
- 肘の内側が鏡に映っていたらセーフ,体幹の側面側に向いていたらアウト
いかがでしたでしょうか。アウトだった方、是非次章の「改善方法」をお試しください。
よく目にする「巻き肩の改善方法」
生活面の改善
改善方法としては、本来は「生活面の改善」を行うのが一番です。例えば、スマートフォンを長時間使わない、ノートパソコンは外部モニターや外部キーボードと併用して、モニターとキーボードの位置を適切な配置にする…等。
しかし、スマートフォンはまだしも、デスクワークで使うパソコンの仕様を変えるのは少々難しいかもしれません。自宅のパソコンならまだしも、会社が支給する備品である場合は、勝手に変えるというわけにもいかないでしょう。
そうなると、「自分でなんとかできること」、すなわち体のメンテナンスで対処する、ということになります。
大胸筋のストレッチ・マッサージ
インターネット上のWebサイトを検索すると巻き肩の改善策として「大胸筋のストレッチ・マッサージ」が多く紹介されています。即効性があるので以下、簡単なものをご紹介します。
- 壁の方を向いて半歩ほど離れた場所に立ち壁に両手をつく。手幅は肩幅より拳2つ広いくらい。
- 両肘を曲げ、体幹を壁に近づける(壁に向かって腕立て伏せをする要領で)。
- 肘を曲げた状態で、体幹を左右に捻り、左右の大胸筋を交互に伸ばす(片側20秒程度)。
- 左右2回ずつ繰り返す。
- 左の脇に右手を差し込み大胸筋を掴んで前に軽く引っ張る(腱のあたりを掴むと良い)
- その状態で左腕を前に10回・後ろに10回程度回転させる。
- 左右を交代して同じように動かす
…これらが、よく見聞きする巻き肩の改善方法なのですが、「生活面の改善」が根本解決策なのですが、現実には難しいことが多く、ストレッチやマッサージは、文字通り対症療法となります。そこで、この記事ではもう一つの方法をご紹介したいと思います。
それが「棘下筋」の筋トレにより体の前面部とのバランスを良くする、というものです。
おすすめの方法「棘下筋の筋トレ」
棘下筋はどこにある?
そもそも、棘下筋がどこについている筋肉か、という話から始めましょう。
棘下筋は肩甲骨の下側を覆うように付着している小さい筋肉で、肩関節を正しい位置に固定するために働く「ローテーターカフ(肩回旋筋腱板)」の一つです。
鍛えたからといって大胸筋や広背筋のように大きく肥大するものではありませんが、肩関節を安定させ怪我を防ぎスムーズな挙動を行うために重要な役割を果たす筋肉です。
どういう機能?
棘下筋は上腕骨の大結節に付着しており、上腕骨を外旋させる役割があります。一例を挙げると「肘を起点にして前腕を外に払う動き(関西のお笑いでいえば「なんでやねん!」とツッコミを入れるときの動作)」などがこれに該当します。
日常的に「なんでやねん!」とツッコミを入れることはないと思いますが、そのほかにも「手で後頭部を触る」「肘から大きく手を振ってバイバイする」ような動作をイメージしてもらえば良いと思います。
これらはいずれも「巻き肩」の「巻く=内旋」とは逆の動きでして、この機能を強化することで、内旋と外旋のバランスが取れる、ということになります。
おすすめの「棘下筋」筋トレ2選
では、棘下筋を鍛える筋トレとして代表的なものを2つご紹介しましょう。ゴムチューブを用いるものと、ダンベル等のウェイトを用いるものです。
ゴムチューブを用いたトレーニング
- 鍛える側の手でゴムチューブを握る。もう片方はもう一方の手で握るか、柱等に固定する。
- 鍛える側の腕の肘の角度が90度になるように曲げ、肘は脇腹につくように固定する。
- 動作の開始時、鍛える側の腕は内旋させ腹のあたりに添える。
- 鍛える側の腕をゴムの張力に抗いながら外旋させる。
- 1秒でゴムを伸ばし1秒で戻すを繰り返す。
- 20回程度を1セットとし、3セット行う。
- 腕を変えて同様に行う。
ダンベル等のウェイトを用いたトレーニング
- 片方の手にダンベル等のウェイト(1kg〜2kgまでの軽いもので十分)を持つ。
- ウェイトを持った側を上にして、床やベンチ台に横向きに寝る。
- ウェイトを持った側の腕の肘の角度が90度になるように曲げ、肘は脇腹につくように固定する。
- 動作の開始時、ウェイトを持った側の腕は脱力して腹のあたりに沿って下に下ろす(内旋した状態)。
- 肘の位置は固定したままウェイトを持った側の腕を外旋させ、ウェイトを持ち上げる(外旋した状態)。
- 1秒でウェイトを持ち上げ、1秒で戻すを繰り返す。
- 20回程度を1セットとし、3セット行う。
- 腕を変えて同様に行う。
これらのトレーニングは大胸筋や広背筋、三角筋などのように筋力強化や筋肥大を狙ったものとは少し異なり、筋肉が正しく機能するよう刺激を与えている意味合いが強いので、負荷はごく軽くて十分です。
棘下筋が鍛えられ正しく緊張することで、上腕骨の位置(回旋度合い)が本来の正しいに是正されることが期待されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「巻き肩」は肩こり、目の疲れ、頭痛など体調不良への影響が心配されるほか、猫背を誘発してしまうので、50代・60代が「カッコいい体」でいるためには、できる限り改善したい姿勢です。
できれば(該当する方は)、本日ご紹介した方法で、改善を進めていただければ幸いです。
それでは、本日はこれで失礼します。最後までお読みいただきありがとうございました。
- 「巻き肩」の原因は複数。最近はスマホの長時間利用やノートPCによるデスクワークが影響大か。
- 筋トレで体の前面、特に大胸筋ばかり鍛えがちな人は、上腕が内旋しがち。
- 改善するために腕を外旋するための筋肉である「棘下筋」を鍛えよう。負荷はごく軽いもので良いので、筋肉に刺激を与えるつもりで。