50代・60代のアラ還世代が筋肉を増やす場合「増量期」は必要か?【リーンバルクのススメ】

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アラ還世代が筋肉を増やすのに増量期は必要?


 AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます!アラ還トレーニーのあんじょうです。

 YouTubeやブログなどで、「ガチ」なトレーニーがバルクアップ(筋肥大)させるために「増量期」を設定しているのをよく見かけます。「増量期」というのは、筋肉を増やすための期間を設定して、意図的にカロリーを多く摂取し、体重を増やしていく方法です。

 「筋トレ界隈」(?)では一般的な手法と言えますが、50代・60代のアラ還世代にとっても適しているかといえば、そうとも言い切れません

 年齢を重ねると、筋肉の合成効率が低下し、脂肪がつきやすくなるため、若い世代と同じようなバルクアップ手法が効果的とは限りません。本日は50代・60代が「増量期」を取り入れることのメリット・デメリットを整理し、健康的に筋肉を増やす「リーンバルク(脂肪をできるだけ増やさない増量)」の方法を紹介します。

 それでは、本日もよろしくお願いします。

目次

50代・60代の筋肉づくりにおける考慮事項

 若い頃には気にしなくても良いことが、加齢に伴い気にせざるを得なくなってきます。以下、50代・60代が「筋肉づくり」において気にしておくべきポイント」をいくつかご紹介します。

ホルモン分泌の減少

 年齢とともにテストステロンや成長ホルモンといった筋肉の合成に必要なホルモンの分泌が減少します。これにより若い頃と比べると、どうしても筋肉の合成効率が下がります。つまり「若い頃よりも筋肥大が起こりにくい」ということです。食事や運動によりホルモン分泌の減少スピードを抑えることは可能ですが、「若い頃の自分」を基準にした場合、「筋肉を増やす力」は衰えていることは念頭に置いておく必要があります。

脂肪の増加リスク

 「筋肉の合成効率が落ちる」のと同様、身体の代謝も低下します。そのため、若い頃と同じようにカロリーを摂取しても、筋肉の合成に回すことができず、合成に使えなかったカロリーは脂肪として蓄積されることになります。

 筋肉を増やすには、カロリー収支(=摂取カロリー ー 消費カロリー)をプラスにすることが必要なのですが、プラスの程度が大きいと脂肪蓄積の度合いも大きくなってしまいます。代謝が落ちているので脂肪燃焼の効率も落ちていますので、一度蓄積された脂肪を減らすのにも若い頃のようにはいきません。

 健康維持の観点からも、無駄な脂肪はできるだけ抑えたいところです。

余談:サルコペニア(加齢による筋肉の減少とその影響)について

 サルコペニアとは加齢に伴う筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します。例えば、「高齢者の筋力が衰え日常生活が難しくなり介護を要するようになる」…といった状態をイメージしていただければ良いでしょう。サルコペニアになると立ったり動いたり、という点に影響するだけでなく、内臓疾患等にも影響があるという研究もあるそうです。 

 本日は「アラ還世代が筋肉を増やす場合」の話をしていますが、「アラ還にもなって、今更、筋肉を増やすといっても…」とお感じの方も多いかもしれません。筋肉を増やそうとしても上記のように「ホルモンが低下し」「代謝が落ちて」「筋肉がつきにくくなっている」のに、頑張らないといけないのか?と。

 そういった方には、このサルコペニアを気にしていただければと思います。

 研究によると、何も運動をしなければ40代後半から50代を超える頃から、毎年1%程度の筋肉が失われていくとも言われています。「筋肉を増やす」ことに興味のない方も、筋肉を減らさないようにするためには「増やす」意識と知識を持っておくことは大事だ、ということかと思います。

一般的な増量方法について

「筋トレ界隈」での一般的な方法

 身体の生理学的な仕組み上、筋肉を増やそうとするとカロリー収支(=摂取カロリー ー 消費カロリー)はからなず「プラス」にする必要があります。

 「筋トレ界隈」では「筋肉を増やすより、脂肪を減らすことのほうが簡単」という前提で、「筋肉を増やすために、脂肪が増えても良いのでとにかく食べる(=カロリー収支がプラスになるようにする)」時期を設けることが一般的です。

 この「筋肉を増やすために、とにかく食べる」時期を「増量期」、コンテストに向けて体脂肪を減らし身体を絞る時期を「減量期」と呼びます。

期間については個人差がありますが増量期を4〜6ヶ月程度で設定している人が多いように思います

 ボディビルコンテスト等に出場するために身体づくりに励むトレーニーの間では、このサイクルが一般的ではありますし、「ボディメイクする」という観点だけで言えば、このやり方は適切だと思うのですが、「筋トレは頑張っているが、コンテストに出るほどではない」方の場合は少し事情が異なってきます

 特に50代・60代のアラ還世代にもなると、この方法をそのまま採用すると、次のようなデメリットが生じる可能性があります。

増量期を設けることのデメリット

 一定期間、過度にカロリーを摂取することにより、筋肉だけでなく、脂肪も蓄積されます。特に「ダーティバルク」と呼ばれる栄養バランスを特に気にせず摂取カロリーを増やす方法(例:ファーストフードや高脂肪なものも気にせず食べる等)を行うと、筋肉が増えたとしても、同時に体脂肪も相当増えます

 体格の変化が大きくなるため、血糖値やコレステロール、血圧などへの悪影響が憂慮されますし、ボディメイクの観点でも増量期間中は「かっこいい身体」からは遠のいてしまいます。増えた体脂肪は膝や腰などへの負担にもつながります。

 特に50代・60代のアラ還世代では、前述のように代謝の低下やホルモン分泌の低下があるため、若い頃のように体脂肪を減らしにくくなっていますし、循環器や消化器に与える影響も気になります。

 コンテスト出場など、競技性のある活動をされている場合は、目的が「コンテストで上位に入ること」でしょうから、一時的な不健康や見た目の悪さは許容できるのかもしれませんが、そうでない場合はメリットよりデメリットの方が大きい取り組み方だと言えるかもしれません。

リーンバルクとは?

 「リーンバルク」とは、脂肪をできるだけ増やさずに筋肉をつける増量方法です。一般的なバルクアップ(特にダーティバルク)との違いは以下の点にあります。

極端に食事量を増やさない

 摂取カロリーはカロリー収支が「総消費カロリー+200〜300kcal程度」となるようにコントロールします。 極端に食事量を増やさず、ゆるやかにカロリーを上げることで脂肪の増加を抑えます。

PFCバランスを重視する

 PFCとは、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の頭文字をつなげたもので、いわゆる三大栄養素のことを指します。これらのバランスを維持することで不要な脂肪が体内に蓄積されることを防ぎます。それぞれの栄養素ごとの留意点は以下のとおりです。

タンパク質(P)

 体重(kg )の値×1.5〜2.0gを目安に摂取するようにします。例えば体重65kgなら「65×1.5〜2.0g=97.5〜130g」ということです。食品から摂取するとどうしても脂質も一緒に摂ることが多くなりがちですので、プロテインなどのサプリメントを上手に活用することを考えましょう。

脂質(F)

 ダイエットなどでは必ず「悪者」になる脂質ですが、極端に制限すれば良いというものではありません。脂質はホルモン合成になくてはならないものであるため、良質な脂質(オメガ3脂肪酸など)を適切な量摂取することは身体づくりには重要です。オリーブオイル、ナッツ、青魚などから良質な脂質を摂るようにしましょう。

炭水化物(C)

白米、玄米、さつまいもなど脂質の少ないものを筋トレ前後に適量摂ることで、筋トレの強度に必要なエネルギーと筋合成に必要なエネルギーを適切に身体に供給するとともに、余剰分を体脂肪として蓄積しにくくします。

食事のタイミングを考える

 食事によって摂取した栄養素やエネルギーが運動と身体づくりに効率よく使われることが大切です。前述しましたが、筋トレの前にエネルギーとなる炭水化物を摂取し、運動後には高タンパクの食事と適切な量の炭水化物・脂質を摂取するようにすれば、余剰したエネルギーが脂肪として蓄えられることを抑制できます。

50代・60代がリーンバルクを採用するメリットと注意点

50代・60代のアラ還世代が筋肉を増やす場合、「リーンバルク」を採用するメリットと注意点について、まとめておきましょう。

メリット

体脂肪を抑えながら筋肉を増やせる

 実際には筋肉を増やす際に、体脂肪も増えてしまいますが、増える量が少なければ絞ることも簡単にできます。また、体型変化も最小限に抑えられますので、見た目の変化もあまり気になりません。

生活習慣病のリスクを抑えられる

 体重変化も緩やかなため、循環器に与える影響は少なく、食事量も大きく変化しないため消化器にも負担をかけずに済みます。結果して高血圧や糖尿病などの生活習慣病への心配が少なくて済みます。

長期的に健康的な体づくりができる

 身体への負担が少ないため、高齢になっても続けられます。「継続は力なり」という言葉のとおり、効果は緩やかでも長期間継続することで総合的には大きな効果を得ることが可能です。

注意点

結果を急がないこと

 元々、若い世代より筋肉の合成効率が低くなっているところに、抑制気味のカロリー摂取となるため、筋肉が増える速度はどうしても一般的なバルク方法よりは緩やかになります。このことを念頭に焦らず継続することが重要です。

食事内容には留意すること

 一般的なバルクアップ方法に比べるとリスクは小さいですが、カロリー収支をプラスにするということは、通常より食事量が増えるということで、いくばくかは消化器に負担をかけることになります。加齢による消化吸収能力の低下を考慮し、消化の良い食品を選ぶことを心がけましょう。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。

 50代・60代の筋肉づくりには、一般的なバルクアップ方法で「増量期」を設定するのではなく、「リーンバルク」のような無駄な脂肪を増やさない方法を長く年間を通じて取り入れる方が良い、というお話をさせていただきました。

 あんじょうも50代に入った頃から、この「リーンバルク」を心がけており、最近は体重の平均値の変化が±1〜2kg/月程度になるようなペースで増量・減量を小刻みにコントロールしています。見た目の変化は緩やかながらもトレーニング時の取扱重量は伸びていますので、まだまだ筋肉は成長していると考えています。

(補足)体内の水分量の違いで1日で1kgぐらいは体重が変化することもあるので、「たまに体重計に載る」程度ではこの方法での管理は難しいです。毎日体組成計などで体重・体脂肪を計測し、上昇・下降傾向を把握することが必要になります。

 筋肉をつけるスピードは若干遅くなるかもしれませんが、コンテストに出るなどの目的がない限りは、健康や生活に影響を与えないことが長続きのコツです。適切な方法を取り入れ、自分のペースで理想の身体を目指していただければと思います。

 それでは、本日はこの辺にしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

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