AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。
あんじょうの偏見かもしれませんが、筋トレ業界では長らく「マシンよりフリーウェイトの方が優れている」的な雰囲気があります。
これはあくまでも「雰囲気」でして、主流派の意見がそうだとまでは言いませんが、一部のブログやYouTubeチャンネルでは、明確に「マシンよりフリーウェイトの方が良い」という主張をされているものを見かけます。
「フリーウェイトの方が良い」と主張されている方の理由を拝見していると、あんじょうとしても概ね賛同できる内容ではあります。しかしマシンにはフリーウェイトにはないメリットもありますので、そのメリットはもう少し世間に広まっても良いのではないか、と思うのです。
特に、50代・60代のアラ還世代の方にはメリットが大きいので是非知っておいていただきたい…ということで、本日はマシントレーニングのメリットについてのお話です。
骨子は以下のとおりです。
- フリーウェイトとマシンでは、「軌道の安定性」「負荷の方向」などに違いがあり、それがトレーニングの特色にもなっている。
- その特色の違いから、フリーウェイトに比べ、「怪我をしにくい」「負荷が抜けない」などのメリットがある。もちろん、逆にデメリットもある。
- マシンの特性を踏まえ「こういう時はフリーウェイトではなくマシンを使ったほうが良い!」というケースやシチュエーションがあるので、いくつかご紹介。
それでは、本日もよろしくお願いします。
「フリーウェイト」と「マシン」の違い
「フリーウェイト」と「マシン」の言葉の説明
お話を進める前に、念の為に「フリーウェイト」と「マシン」という言葉の説明をしておきます。
フリーウェイト(トレーニング)というのは、バーベルやダンベル、ケトルベルなどの「ウェイト」を使ったトレーニング全般を指します。トレーニングベンチやパワーラックといった補助器具を用いつつ、ウェイトを持ち上げる動作を行うトレーニングです。
マシン(トレーニング)というのは、フィットネスジム等に設置されている、「レッグプレスマシン」「チェストプレスマシン」など「XXマシン」と呼ばれるトレーニング専用の機器を使ったトレーニングを指します。これらの機器は、ハンドルやアームと呼ばれる稼働部分を手や脚等で動かす際に負荷がかかるようになっており、この負荷に負けないようにして動作を行うトレーニングです。
いずれも、正確には「フリーウェイトトレーニング」「マシントレーニング」と「トレーニング」という言葉をつけるべきなのかもしれませんが、表記が長くなりますので、この記事では「フリーウェイト」「マシン」と記載させていただきます。
フリーウェイトとマシンの特徴
まず始めにフリーウェイトとマシンの特徴的な違いを見ていきましょう。両者には以下のような違いがあります。
フリーウェイト | マシン | |
マシン・器具のサイズ | 気にする必要なし | メーカーによっては日本人の体格には大きめなこともある |
動作の軌道 | 自由 | 機器により一定範囲に保たれる |
負荷のかかり方 | 重力方向(常に下向き) | 稼働方向に対してかかる |
用途 | 複数種目ができる | 特定種目に限定(脚・背・胸等) |
以下、一つずつ説明していきます。
マシン・器具のサイズ
フリーウェイトの場合はバーベルやダンベルなどのウェイトを手で持つ部分は若干の太い・細いはあるものの概ね同じサイズなので、あまり気にする必要はありませんが、マシンの場合はメーカーによってシートやアーム(稼働部分)のサイズに大小があり、マシンのサイズと自分の体格(身長や肩幅・腕の長さなど)が合っていないと思うように負荷がかけられない、といったことが起こります。
大抵の場合、マシンにはシートやハンドルまでの距離を調整するための機構がついているため、問題なく使えることの方が多いとは思いますが、身長150cm前後の方であれば、調整機構だけでは調整しきれないこともしばしばあります。
メーカーの違いだけでなく、同一メーカーでも機種によって調整機構やサイズ感が違うことがありますので、自分の体格に合わないと感じるときは、フィットネスジムのトレーナーに相談しましょう。
動作の軌道
フリーウェイトの場合はウェイトを手でもっては持って動かすだけなので、ウェイトを動かす軌道は自由です。言葉を変えると、力をいれてコントロールしないとグラついて非常に不安定になります。
その点、マシンの場合はアームの稼働する方向、範囲が固定されており、定められた方向・範囲でしか動きません。これは、メリットとも言えますし、デメリットとも言えます。詳しくは後述します。
負荷のかかり方
フリーウェイトはウェイトの「重さ」を使ったトレーニングです。つまり、負荷は重力のかかる「下方向」にしか働きません。ですので、腕や脚を動かす動作範囲の中で負荷の強い範囲と弱い範囲がどうしてもできてしまいます。
一方、(性能の良い)マシンの場合は、カムやプーリーを使い、稼働範囲全域において負荷がかかる(負荷が抜けない)ようになっているものが多くあります。
この点がフリーウェイトとマシンの決定的な違いだと言えます。
用途
フリーウェイトはダンベルやバーベルを各種目で使い分けますが、マシンは通常(ケーブルマシンなどを除けば)、体の特定部位を鍛えるためのものです。そのため、体の各部位を鍛えるためには、その数に応じてマシンを用意する必要がありますので、必然的にジムに通わないと使えない、ということになります。
家庭に設置できる多用途のマシン(マルチマシン)もあるのですが、使い勝手や精度の面ではフィットネスジムに設置されている専用機には見劣りするように思います。
マシンのメリット・デメリット
前述のように、フリーウェイトとマシンの間には特徴的な差があるのですが、この違いがそのまま、マシンのメリット・デメリットにもつながってきます。
メリット・デメリットの一覧
順に説明していきますが、これも、まず始めにざっと箇条書きで列挙します。
- フリーウェイトに比べると、細かなテクニックは不要で初心者でも取り組みやすい。
- フリーウェイトに比べると(多少無理をしても)関節を怪我したり、ウェイトの落下等で怪我をするリスクは低い(註:リスクは0ではありません)
- 動作全域において効率よく刺激を与えることが可能(負荷が抜けない)
- マシン自体がウェイトを安定的に支えているため、フリーウェイトに比べると体を安定させたりバランスを取るための筋肉に刺激が入りにくい。
- マシンのサイズ感が自分の体格に合っていない場合がある。
- ジムで利用することが前提になる(わざわざジムに行かないとっできない)
これらのメリット・デメリットについて順に解説していきます。
メリットの解説
細かなテクニックは(それほど)いらない
「チェストプレスでは胸を張り肩甲骨を下制した状態で押す」「ラットプルでは猫背にならない」など姿勢や動作の仕方に基本的な注意点はあるものの、フリーウェイトに比べると動作時に気を付けるべき点は少ないと言えます。
極端な言い方になりますが、腕や脚を動かす軌道が固定されているので、「押せば良いだけ」「引けば良いだけ」であり、基本さえ押さえれば、細かなテクニックを知らなくとも、正しく狙った筋肉に刺激を与えることが可能です。このため初心者でも取り組みやすく、成果を出しやすい、という点は大きなメリットです。
怪我をするリスクが低い
マシンの設計により軌道と稼働範囲が固定されているため、関節にとって無理な方向・範囲にまで力がかからないようになっています。また、急に力を抜いたり手を離してしまっても、ウェイトやアームが体に当たることはない設計になっています。このため、多少無理な動作をしてしまったとしても、フリーウェイトに比べると関節を怪我したり、ウェイトの落下等で怪我をするリスクは低いといえます(註:リスクは0ではありません)
効率よく刺激を与えられる(負荷が抜けにくい)
フリーウェイトの場合は「重力方向」に負荷がかかりますが、マシンの場合はカムやプーリーを使って、マシンの稼働方向全域にわたって負荷がかかるようになっているため、筋肉が伸びた(ストレッチされた)状態から収縮した状態までの「全範囲」において効率よく刺激を与えることが可能です。
デメリットの解説
筋肉の動員がフリーウェイトほどではない(という説があります)
フリーウェイトの場合、ウェイトを持った状態で姿勢を安定させるために、身体中の姿勢やバランスを保つ筋肉を動員する必要があります。このため高重量を扱う場合は鍛える対象の筋肉だけでなく、それ以外の筋肉も全身副次的に鍛えられると言われています。また、それだけでなく、鍛える対象の筋肉についても筋肉を構成する筋細胞・神経細胞の単位(モーターユニットと言います)の動員率が高くなると言われています。
しかし、マシンの場合にはマシン自体がウェイトを安定的に支えているため、その効果が得られにくいという事情があり、これが一部の方が「フリーウェイトのほうが優れている」と主張される背景です。
安定的な動作ができるので、要らぬところに無駄な力を使わず集中できるという見方をすればデメリットではないのですが、「より多くの筋肉を動員できる方が優れている」という考えに立つとデメリットということになります。
マシンによっては小柄な人では扱いにくい可能性あり
マシンのサイズ感が自分の体格に合っていない場合は、正しく負荷がかからない可能性があります。小柄な方の場合はマシンによって向き・不向きがある場面が想定されます。
ジムに行かないとできない
(家庭用のマルチマシンなども数万円からありますが)フィットネスジムに置いてあるようなマシンは数十万円程度と高額で、自宅に設置することは一般には難しいものです。そのため、ジムで利用することが前提になる(=わざわざジムに行かないとできない)ことも、個々人の事情によってはデメリットとなるでしょう。
マシンの方がフリーウェイトより適しているケース5つ
ここまで、マシンのメリットとデメリットを紹介してきました。あんじょうの個人的意見としては「体格の合う・合わない」や「ジムに通えるかどうか」といった状況次第のところはあるものの、状況が許しさえすれば、デメリットよりもメリットの方が大きい」と思っています。
具体的にお示しした方が早いと思うので、以下「フリーウェイトでこれをやるくらいなら、マシンの方が良い」と思うものをご紹介していきます。
もし、ジムに通われている方で、当該のマシンがあれば、フリーウェイトとマシンの両方試して比較してみてください。
「負荷が抜けがちなフリーウェイト種目」を選択している場合
具体的には「レイズ系」「フライ系」種目です。
例えば「ダンベルサイドレイズ」であればダンベルを肩の高さにまで持ち上げた位置が一番負荷が高く、下ろすにしたがって急激に負荷が弱まり、ダンベルを下ろしきった状態では肩の筋肉に全く負荷がかかりません。
「ダンベルフライ」はサイドレイズの逆で、腕を広げた状態が胸の筋肉にとって最も負荷が高い状態ですが、腕を胸の真ん中にまで寄せた状態、すなわちダンベルを高く持ち上げた状態のときは、胸の筋肉に対する負荷は全くなくなります。
このような種目については、サイドレイズマシンや、ペックフライ(バタフライ)マシンがあれば、そちらを使っていただいた方が、可動域の最初から最後まで筋肉に負荷がかかりますので、おすすめです。
細かいことを言えば、フリーウェイトであれば、プレス系でもプル系でも負荷が抜けるポイントはあるのですが、腕を伸ばしたまま動作する種目ほど「抜け具合」が大きくなるので、取り上げさせていただきました。
「怪我のリスクが大きいフリーウェイト種目」を選択している場合
具体的には「バーベルスクワット」「バーベルベントオーバーロウ」など、フリーウェイトで上半身を前傾させる種目です。他、オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)のように、正しく動作しなければ、腰に過度の負担がかかる種目もこれに該当します。
これらの種目は、姿勢と負荷の大きさに気をつければ、体幹も含めて同時に鍛えられる良い種目ではあるのですが、一方で、少しでも油断したり、姿勢が崩れたりすると腰を痛めるリスクが大きくなります。
特に50代・60代のアラ還世代にとっては腰を痛めるとなかなか快復せず、その後の筋トレ生活にまで影響が及びかねません。このような種目は可能であればレッグプレスやハックスクワット、シーテッドロウのように腰に負荷がかからない(かかりにくい)マシン種目と置き換えていただいた方が、安心でしょう。
「追い込み」を行う場合
筋トレに慣れてくると、力を出し切って反復動作ができなくなる「オールアウト」の状態にまで筋肉を酷使する(追い込む)ようなトレーニングをされる方も出てきます。
疲労困憊するまで力を出し切るので、集中力が落ちて動作姿勢が乱れがちですし、それが起因となって怪我につながるリスクもあります。
こういう場合は、マシンを使っていただいた方が、多少動作が乱れたとしても怪我のリスクは低くなります。
また、ウェイトスタック式のマシン(ウェイトにピンを差し込んで負荷を変更する方式)であれば、限界まで動作した後、負荷を少しだけ下げて再び動作するような追い込み方も簡単にできますので、おすすめです。
バーベルのプレートを取り付けるプレートローディング式のマシンでは、このようなことは、少し面倒ですが・・
(50代・60代だが)「高重量」を扱いたい場合
筋トレに慣れてくると、ベンチプレスやスクワットなどで「マックスXX kg」といった記録を伸ばすことに興味を持たれる方もいらっしゃると思いますが、あんじょうとしては、50代・60代になってからフリーウェイトで5回以下しか動作できない負荷はおすすめしません。
筋肉への影響もさることながら、関節への影響が懸念されるからです。重量による負担が大きいこともありますが、腕や脚・腰を正しい位置に安定させることができないと、重量以上の負荷が関節にかかり、怪我のリスクが非常に高くなります。
アラ還世代になってからは、フリーウェイトは重くても8回〜10回以上は反復できる重量で行うこととし、どうしても高重量にチャレンジしたい場合は、マシンを使うようにしましょう。
初心者の場合(まずはマシンで筋肉の使い方に慣れましょう)
初心者からフリーウェイト種目をすすめられる方もいらっしゃいますが、トレーナーの指導が受けられる場合はフリーウェイトから始められても特段問題ないように思います。
逆に、「最初に軽く指導を受けるだけで、あとは自分で取り組む」ような状況であれば、まずはマシンで狙った筋肉を正確に刺激することに慣れていただいたほうが、後々の上達も早い(変な癖がつきにくい)です。
フリーウェイトも良いのですが、まずは全身の筋力と基礎動作を身につけてからでも遅くないと思います。
まとめ(フリーウェイトとマシンを組み合わせるのがベスト)
以上、まとめますと、本日は以下のようなことをお伝えしました。
- フリーウェイトとマシンでは、「軌道の安定性」「負荷の方向」などに違いがある。
- マシンにはフリーウェイトに比べ、「怪我をしにくい」「負荷が抜けない」などのメリットがある。
- ダンベルサイドレイズやダンベルフライなど動作中に負荷がかからない可動域のある種目は、マシンがあるならマシン種目に変えよう。
- バーベルスクワットやベントオーバロウなど、前傾で腰に負担がかかる種目もレッグプレスやハックスクワット、ロウイングマシンがあればマシン種目の方が安全。
- その他「追い込み」をかける場合、「高重量」を扱いたい場合、「初心者」の場合などもマシンの利用がおすすめ。
自宅で自重トレーニングやフリーウェイトトレーニングに勤しむの悪くはないのですが、理想を言えばフィットネスジムでフリーウェイトとマシンを使い分けながらトレーニングするほうが、より効果的ではあります。
涼しくなって「運動の秋」の季節になりましたので、これまでマシントレーニングをされたことがない方は、この機にフィットネスジムでトレーニングすることをお考えいただくのも良いかもしれません。
それでは、本日はこの辺で失礼します。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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