AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。
筋トレやダイエットをされている方は食事だけでなくプロテインその他の栄養補助食品、いわゆる「サプリ(サプリメント)」を日常的に摂られている方も多いと思います。
一口にサプリと言いますが、筋トレ関連で思いつくだけでも、プロテインをはじめとして、BCAA、EAA、HMB、クレアチン、グルタミン、マルチビタミン・ミネラルなど多数。ダイエットでもCLAやLカルニチン、ファットバーンや食物繊維系のXXファイバーなど。中高年向けには関節に効くと言われるコラーゲンやコエンザイム…、と、カタカナと英字略称のオンパレードになります。
これらをインターネットの記事やCMにすすめられるまま購入すると、結構な値段になりますし、なによりも、「薬漬けになっている」気がして少々不安を覚えます。
そこで、本日は、多数あるサプリから何を選べばよいのか、そもそも摂る必要があるのか、について書かせていただきたいと思います。
この記事は以下のような方の参考になります。
- 筋トレで体づくりを始めようとしている方
- サプリを試そうと思うが、何を選ぶべきか悩んでいる方
- サプリをたくさん摂っているが、どれか止めようと思っている方
なお、記事の概略は以下のとおりです。
- サプリを選ぶ際には、自分にとって「お金をかけるほどの効果が期待できるか」をよく考える必要。
- BCAAやEAAなどアミノ酸系サプリ、グルコサミンやコンドロイチンなど「関節に効く」とされるサプリなどは冷静に考えると、優先度は低いのではないか。
- 食事で必要な栄養を摂取できるならサプリは不要だが、タンパク質やビタミン・ミネラルは不足しがち。まずは「過不足」を把握し、適切に補うことが大切。
- アプリなどを使った食事管理(記録)がおすすめ。
それでは参りましょう。本日もよろしくお願いします。
覚えられないほど沢山あるサプリの種類
冒頭にも書きましたが、筋トレやダイエットに関係するサプリは文字通り「星の数ほど」ありまして、ざっと挙げただけでも、プロテインを筆頭にBCAAやEAA、HMB、クレアチン…とキリがありません。
少々乱暴かもしれませんが、これらの効能を分類すると大きく以下の4種類に分けられるように思います。
- 身体づくり(筋合成促進・分解抑制)系
- パフォーマンスアップ系
- ダイエット脂肪燃焼系
- リカバリー・代謝促進系
それぞれ、概略をご説明します。
身体づくり(筋合成促進・分解抑制)系
EAA、BCAA、HMBなど
EAA、BCAA、HMBはいずれも身体に不可欠であるにも関わらず体内で合成できない「必須アミノ酸」のサプリメントです。必須アミノ酸には、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、スレオニン、ヒスチジン、トリプトファン、バリン、ロイシン、イソロイシンの9種類があり、この9種類全てを含むのがEAA、バリン、ロイシン、イソロイシンを含むのがBCAA、ロイシンから生成されるのがHMBとなっています。
いずれにも筋肉の合成を促す(=スイッチを押す)効果と、タンパク質(つまり筋肉)の分解を抑制する効果が期待されており、トレーニング中・後の筋合成と分解抑制を狙って摂取されることが多いように思います。
なお、含まれるアミノ酸の種類の多さを比較すると以下のような構図になります。
EAA(9種)>BCAA(3種)>HMB(1種)
この構図を見ると「EAAに全部入っているのであれば、BCAAやHMBはいらないのではないか?」「そもそも、アミノ酸ならプロテインに全て入っているのではないか?」と思われる方もいらっしゃると思います。
ここは筋トレ業界でも論争(?)がある部分でして「プロテインは消化するのに時間がかかる。筋トレ中・筋トレ後に速やかに体内に必須アミノ酸を届けるにはサプリが有効」、「必須アミノ酸ごとの摂取量にばらつきがあると、摂取が少ないアミノ酸の量に見合った効果しかでない」あるいは「より身体が必要とするアミノ酸を集中的に摂取すべき」といった主張が見受けられます。
このような主張をどう受け止めれば良いかは後述したいと思います。
トレーニングのパフォーマンスアップ系
クレアチン、マルキデキストリン、エナジードリンク(カフェイン)等
クレアチンについて
筋トレのパフォーマンスアップを狙って摂取するサプリの代表格がクレアチンです。クレアチンは筋肉のエネルギー産生に深く関わるアミノ酸の一種で、筋トレなど無酸素運動系のスポーツで瞬発的に大きな筋出力を発揮する局面に寄与します。
つまり、クレアチンを適切に摂取していると高負荷の筋トレに身体が対応できるようになり、その結果、筋肥大や筋力アップが果たされる、ということです。
マルキデキストリンについて
聞いたことがない方の方が多いかもしれませんが、甘味のついたサプリ(エナジーゼリーなど)の成分表を見ると大抵「デキストリン」が含まれています。
成分的には「糖質」です。でんぷんを加水分解して作られており、消化吸収が緩やか(=血糖値上昇が緩やか)で持続的に筋トレ等のスポーツにおいて体内にエネルギーを補給するために摂取されます。
筋トレなど無酸素運動ではエネルギーとして体内(筋肉内・血中)の糖質が消費されるのですが、不足するとタンパク質、つまり筋肉の分解が生じる可能性があるため、トレーニング前・中に十分なエネルギーを補給する目的で摂取されます。
エナジードリンクについて
レッドブルやモンスターエンジン等、最近は「エナジードリンク」という分類でカフェインが大量に入った飲料が多く市販されています。一般にカフェインを摂取するとスポーツのパフォーマンスが向上する、と言われていることから、飲用されている方も多いように思います。
インターネットの記事でたまに「筋トレにはコーヒーがおすすめ」といった内容のものをみかけますが、これもカフェインの効能に着目したものと思われます。
「ダイエット・脂肪燃焼」系
Lカルニチン、CLA
L -カルニチンについて
必須アミノ酸であるリジン・メチオニンから体内で合成されるアミノ酸の一種で、脂質の代謝(=所謂脂肪燃焼)に深く関わっています。体内で合成されるものの、加齢とともに合成力や貯蔵能力が低下することから、それを補う目的でサプリメントで摂取する、というものです。
あくまでも栄養素の一種でして、「痩せ薬」ではありません。
CLAについて
CLAは日本語にすると「共役リノール酸」と言います。不飽和脂肪酸の一種でして、体内に脂肪を蓄積しにくくするとともに、脂肪を分解しやすくする作用があるとされています。
これも、あくまでも栄養素の一種でして「痩せ薬」ではありません。
「リカバリー・代謝促進」系
マルチビタミン・ミネラル、グルタミン、グルコサミン・コンドロイチン
マルチビタミン・ミネラルについて
説明の必要はないかもしれませんが、所謂ビタミン、ミネラル類を複数配合した栄養剤です。目的によって様々な配合がありますが、筋合成・代謝促進をねらいにしたものには、ビタミンB群(B1,B2,B6)、ビタミンD、亜鉛・鉄などの比率が高いものが多いように思います。
グルタミンについて
グルタミンはアミノ酸の一種で筋肉の分解抑制・疲労の回復、免疫力向上などに効果があるとされています。通常は体内で合成されるのですが、体への負荷・ストレス(筋トレなどスポーツを含む)により大量に消費され合成が間に合わなくなることがあるため、そのような場合にサプリで補うことが考えられます。
グルコサミン・コンドロイチンについて
アラ還世代には、気になるサプリかもしれません。加齢に伴い膝関節などに不調を抱えると気になるのが「グルコサミン」や「コンドロイチン」です。関節の軟骨に含まれる成分でグルコサミンは「アミノ糖」の一種、コンドロイチンは「ムコ多糖」の一種で、本来体内で合成されるものなのですが、加齢によって合成力が低下することから、これを補うためにサプリで摂取する、というものです。
筋トレやダイエットに本当にサプリは必要か?
サプリメントの効果
科学的な論文やエビデンスについて自分自身で原本を取り寄せてチェックしたわけではなく、所詮メディアを通じて得た情報にすぎないのですが、それらの情報を総合すると各サプリには、「それなり」に効果があるようには思います。
もちろん、メディアを通じて得られる情報の中には信用に足らない情報もあるのですが、そういった情報は排除した上での所感です。
ここで「それなりに」と書いたのには理由があります。
例えば、BCAAを飲まないときより飲んだ時の方が、筋肉が大きくなったとしましょう。しかし、それは「1ヶ月で1.5倍になった」といったレベル感のものではないはずです。よく筋トレで筋肉が大きくする大変さを表す言葉として「毎日、ティッシュペーパーを1枚1枚重ねるようにして」と表現されることもあるとおり、相応の時間と手間をかけなければ、筋肉は大きくなりません。
「ガチの筋トレ勢」といいますか、これまでさんざん筋トレに励み、体も十分大きくなった上で、さらに上を目指す、という方々なら、ほんの少しの効果であっても、多数の高いサプリにお金を費やす意義はあるかもしれません。
しかし、50代・60代のアラ還トレーニーの大部分であろう、「健康増進のため」「かっこいい体になるため(維持するため)」という人々にとっては「当該サプリメントはお金に見合った効果があるのか」ということをよく考えねばならないのでは、と思います。
自分にとってお金に見合う効果であれば「効果が大いにある」ということでしょうし、そうでなければ「思ったほどの効果はない」「それなりの効果しかない」という評価になるでしょう。
要は、効果の有無は、個人の受け止め・価値観によるところが大きい、ということです。
サプリメントの必要性
効果の有無については、個人の受け止め・価値観によるところが大きいと書いたものの、価値観以前の話もあります。
それが「必要性」です。
わかりやすい例としてマルキデキストリンで説明しましょう。
マルキデキストリンは筋トレ等のスポーツにおいて体内のエネルギー不足を補うためのサプリですが、これをダイエット中の方が摂取する必要は基本的にはありません。
運動前に、体内にエネルギーがある状態にしておいた方が好ましいのですが、それは通常の食事で賄うべきでして、通常の食事に加えサプリを摂取する必要性は低いと思います。
マルキデキストリンを摂取することでカロリーオーバーになればダイエットにとっては逆効果です。
これは極端な例ですが、サプリ自体の効果の有無とは別に、目的に照らした場合のサプリの要否といった観点もあるのです。
もう少し具体的に書けば、
- Aというサプリメントを摂取するくらいなら、先に、Bというサプリメントを摂取した方が良いのではないか
- Cというサプリメントに頼るよりも、先にXXした方が良いのではないか
- Dという目的のためなら、EとF、2つのサプリメントのうち、1つだけで十分ではないか
といったことです。
このように、自分にとっての「効果」と「必要性」を加味すると、摂取すべきサプリメントの「優先順位」が見えてきます。
優先順位は人それぞれの事情により様々でしょうが、次の項ではあんじょうの考える優先順位をご紹介したいと思います。
なお、あくまでも一例でして、これが絶対というものではありませんので、その点ご了承ください。
サプリメント選択の優先順位(一例)
先に結論から参りましょう。筋トレ・ダイエットによるボディメイクを目的とした場合、特に50代・60代のアラ還世代が摂るべきサプリメントとしては、あんじょうは以下の優先度で検討することをお勧めします。
- 優先度1:食事の栄養バランスを整えるもの
- 優先度2:身体のケアに寄与するもの(ただし、効果が明確なもの)
- 優先度3:筋トレやダイエットの効果アップに役立つもの
これを具体的なサプリメントに置き換えますと以下のとおりとなります。
- 位:プロテイン
- 位:マルチビタミン・ミネラル、
- 位:グルタミン
- 位:EAA、BCAA、HMB、クレアチン、CLA、Lカルニチン
なお、グルコサミン・コンドロイチン、マルキデキストリン、エナジードリンク類は今回「順位外」とさせていただきました。
以下、理由について説明します。
「サプリ摂取の優先度」の考え方
優先度を 「食事の栄養バランスを整えるもの」>「体のケアに寄与するもの」>「パフォーマンスアップ」の順に並べましたが、この考え方の根拠はいたって単純です。
ボディメイクを「家の建築」に例えて考えてみましょう。
木材などの建材がなければ、建築作業員や道具が整備されていても家はできません。当然、「材料」が第一優先になります。(=食事・栄養バランス)
どれだけ優秀な作業員や、効果な道具を揃えていても、建設中に建物が倒れたら困りますので、建物自体をサポートするための治具や補強もなくてはなりません。(=身体のケア)
当然、作業員や道具も必須なのですが、「腕の良い」作業員や「高機能な」道具まで必要かどうか…というと、そこは予算との相談、ということになります。
この考え方で並べたのが、前述の「具体的なサプリメントの優先順位(例)」です。
「サプリメントの優先順位」について(解説)
優先度1:食事の栄養バランスを整えるもの
この分類の対象としては、身体づくりの材料となるプロテイン、代謝を促進するビタミン・ミネラルが含まれます。
サプリの優先順位1位としてはプロテインを選ばせていただきました。現代の食生活では糖質・脂質の比率が高くなりがちですし、カロリーを一定に抑えようとすると相対的に通常の食事ではタンパク質の摂取量が低くなります。
筋肥大をねらうのであれば、通常よりタンパク質を多く摂取することが必要となりますので、糖質・脂質を抑えながら、必要なタンパク質量を摂取する手段としてプロテインは必須と考えて良いと思います。
第2位がビタミン・ミネラルです。ビタミンB群は食事で十分摂ることは可能だとは思いますが、代謝を促進するためには通常の基準値よりも多めに摂れた方が好ましいですし、ビタミンD,Eや鉄・亜鉛・などは意識しないと不足しがちです。特にダイエットを行う期間は偏食により栄養バランスが崩れがちなので、対策としてサプリで補うことが有効であると思います。
優先度2:体のケアに寄与するもの
この分類の対象としては、リカバリー系のサプリであるグルタミンやグルコサミン・コンドロイチンが該当します。その中から優先順位の高いもの(第3位)としてグルタミンを選ばせていただき、グルコサミン・コンドロイチンは5位にまで優先度を下げさせていただきました。
グルタミンについては、アミノ酸として吸収されたあと、筋肉や腸などでどのような効果を発揮するかが明確である一方、グルコサミンやコンドロイチンについては、あんじょうとしては若干効果に疑問が残ることが理由です。
グルコサミンやコンドロイチンは膝などの関節を構成する成分ではありますが、それを経口摂取したからといって、関節の成分として使われるかどうか、に疑問を感じます。
無論、材料の一部ではあるのですが、胃や腸で消化・分解され、体の材料として再構成されるため、必ずしも期待する箇所(膝の関節など)に効くとは限りませんし、効いたとしても摂取した量の一部にすぎないかもしれません。
そう考えると、摂取に伴う効果は0ではないですが、高くもないのではないかと思うのです。そこで、優先度としては下げさせていただきました。
優先度3:筋トレやダイエットの効果アップに寄与するもの
この分類の対象としては、身体づくり系サプリのEAA、BCAA、HMBや、パフォーマンスアップ系のクレアチン、ダイエット系のCLA、Lカルニチンを分類させていただきました。全部まとめて優先順位4位とさせていただきます。
EAA、BCAA、HMBで補う必須アミノ酸については基本的には食事やプロテインからアミノ酸スコアの高いタンパク質を摂取すればある程度は賄えています。お財布に余裕がある場合は積極的に摂取を検討すれば良いとは思いますが、プロテインよりもEAAやBCAAを優先して摂取する必要性は低いと考えます。
クレアチンについても筋トレのパフォーマンスを上げるために有効なサプリだとは思うものの、直接的に筋肥大(ボディメイク)に働きかけるものではありませんので、コストパフォーマンスについてはよくよく考えたいところです。
CLAやLカルニチンについては、脂肪燃焼・脂肪蓄積抑制に効果があるとしても、飲めば勝手に脂肪が減るわけではありません。「飲まないよりは飲んだほうがマシ」なレベルですので、これも、サプリ摂取に頼らず、地道なトレーニングでカロリーを消費するほうが確実性とタイムパフォーマンス・コストパフォーマンスの面では優れているように感じます。
サプリ選択の前に栄養管理を
ここまでサプリの種類や選択の優先順位についてご説明してきましたが、忘れてはならないのは、サプリは「栄養補助食品」である、ということです。
そもそも、栄養補助の要否は、まずもって日常の食生活において、どの栄養素に過不足があるかを把握しなければわかりません。
サプリも食品ですので、それぞれにカロリーはあります。また、食品とはいえ、ビタミンやミネラルの中には不用意に摂取しすぎると弊害が生じる成分もあります(ビタミンAや亜鉛など)。
そのような点に配慮し、まずはご自身の栄養状態がどうなっているかは把握・管理していただくことをおすすめします。
最近はスマホアプリで栄養管理が手軽にできるものも多数でてきています。そういったアプリを使って日々の栄養状態を管理していただくこともお考えいただければと思います。
まとめ
本日は、「多数あるサプリから何を選べば良いのか、そもそもアプリを摂取する必要はあるのか」というお話をさせていただきました。
結論的には、
- まずはプロテイン、その次にビタミン・ミネラル、グルタミンの摂取を検討してはどうか。
- EAAやBCAA、クレアチン、CLA、Lカルニチンなども悪くはないが、「ガチ」で筋肥大や除脂肪にチャレンジするのでなければ必要性は高くない。
- グルコサミン・コンドロイチンについては効果に疑問も残るので、優先順位は低めで良い。
というご提案になります。
それでは、本日はこの辺で失礼します。最後までお読みいただきありがとうございました。