はじめに
AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。
毎日暑い日が続きますね。食欲がなかったり、食事を作るのが面倒で朝食や昼食を野菜ジュースやプロテインドリンクで済ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
名称に「野菜」とついていることで健康に良い印象がある「野菜ジュース」ですが、ダイエットや健康管理の面では、気をつけないと逆効果になる可能性があります。
そこで、本日は「野菜ジュースとダイエット」について考えてみたいと思います。
この記事の要旨は以下のとおりです。
- 「野菜ジュースダイエット」というダイエット方法がある。内容を勘違いしていると逆効果になる可能性。
- 「野菜ジュースは健康に良い」という先入観が落とし穴。ちゃんと栄養成分をチェックしよう。
- ダイエットの基本はカロリー管理。加えて、栄養バランスへの配慮も忘れずに。
それでは、詳しく説明していきます。
==PR==
野菜ジュースはダイエット効果あり?
巷には「野菜ジュースダイエット」というものがあるようです。あるWebサイトの記事によりますと主な効果は以下のとおりだそうです。
- 野菜ジュースには水溶性食物繊維が含まれるため、血糖値の上昇を緩やかにする。
- 食物繊維が含まれるため、便秘の解消に役立つ。
- 満腹感が得られる。
- ダイエット効果のある栄養素(カリウム、ビタミンEなど)が得られる。
…いかがでしょうか。あんじょうとしては気になる点がいくつかありますので、順に挙げていきたいと思います。
まず、食物繊維がもたらす効果「血糖値の上昇を緩やかにする」と「便秘の解消」から見ていきましょう。
「血糖値上昇の抑制」と「便秘の解消」について
血糖値の急激な上昇はインシュリンの分泌を促し、肥満の一因になるとされています。そのためダイエットにおいては「低GI値」の食品が好まれたり、食事の際、最初に野菜など繊維質の多い食品を食べるなどして、血糖値の急激な上昇を抑えることが肥満抑止には効果的であるとされています。
しかし、大事なことがひとつ抜けています。
「血糖値の上昇が緩やかになる」ということと、「食物から消化吸収されるカロリーの多い少ない」は別の話だということです。
血糖値の上昇が緩やかになったとしても、最終的に血糖値は上昇(=体内にエネルギーが取り込まれる)します。
これは、「便秘の解消」の話でも同様です。食物が体内に残留する時間が長いほど、多少カロリーの取り込みが多くなることはあるでしょう。しかし、快便だからといって食物のエネルギー吸収が大幅に抑制されることはありません。
むしろ、胃腸の調子がよければ、それだけ消化吸収も促進されますよね。
次に「満腹感」と「ダイエット効果のある栄養素」について考えてみます。
「満腹感」と「ダイエット効果のある栄養素」について
まず「満腹感」についてですが、この効果については個人的には疑問です。
自分が野菜ジュースを飲んだときの印象では、決して「腹持ちの良い」感じはしません。飲料ですので一般的な感覚としては「腹に溜まらない」と感じるものではないでしょうか。
満腹感を感じるとすれば、それは糖質のせいであり、「甘いジュースを飲んで満腹中枢が刺激された(=すぐに解消してしまう)」という状態です。これはダイエットの観点からあまり好ましい状態ではありません。
次に「ダイエット効果のある栄養素」についてですが、これは「カリウム(むくみ解消)」「ビタミンE(血行促進)」などが挙げられていました。
しかし「むくみ解消」は体内の余計な水分を体外に排出するだけですので、体脂肪を減少せるさという意味でのダイエットとは言えません。また、ビタミン・ミネラル類についてはダイエットを進める上で、代謝や血行促進などになくてはならないものではあるものの、その代償として糖質の多いジュースを飲む必要があるのか、というと、これも疑問です。
そう考えていたところ、「野菜ジュースダイエット」を説明する記事に、しっかり以下の注意書きが書かれていました。
- ダイエットのためには、カロリー収支をマイナスにすることが大前提。
- 野菜ジュースには糖質が多いものもあるので、糖質オフの野菜ジュースを飲むこと。
- 飲み過ぎによる糖質の過剰摂取に注意すること。
結局、ダイエット食として見た場合の「野菜ジュース」の特筆ポイントは「食物繊維が多い」「ビタミン・ミネラルが摂れる」ことのようですが、これが本当に優れているかどうかは数字で確認する必要があるでしょう。
ついつい「野菜=健康に良い=ダイエットに効果的」と思ってしまいがちですが、それが本当かどうかを見ていきましょう。
野菜ジュースの栄養成分
一言で野菜ジュースと言ってもメーカーも種類も様々ですので、ここではシェアの大きなもの2種類を調べてみました。
結果は下表のような状況です。
メーカー | カゴメ | 伊藤園 |
商品名 | 野菜一日これ一本 | 一日分の野菜 |
エネルギー | 64kcal | 73kcal |
たんぱく質 | 2.2g | 2.1g |
脂質 | 0g | 0g |
炭水化物 | 14.9g | 16.7g |
糖質 | 12.6g | 14.2g |
糖類 | 10.1g | 11.7g |
食物繊維 | 1.3~3.2g | 1.4~3.8g |
食塩相当量 | 0~0.4g | |
カリウム | 620mg | 647mg |
カルシウム | 44mg | 136mg |
マグネシウム | 18~41mg | 58mg |
ビタミンA | 220~1400μg | 520~1545μg |
ビタミンE | 0~6.4mg | 0.7~4.6mg |
ビタミンK | 0~25μg | 3~29μg |
葉酸 | 15~79μg | 13~86μg |
リコピン | 5~36mg | 8mg |
βカロテン | 2400~12000μg | 5180~13635μg |
ポリフェノール | 48~150mg | 58~310mg |
亜鉛 | 0.1~0.6mg |
両製品とも、糖類は200ml中約10〜12gとなっています。角砂糖(1つ4g)に換算する2.5個から3個分ということですね。
コカコーラに含まれる糖類が200mlあたり23g弱なので、それに比べると半分程度ですが、微糖の缶コーヒー(例:UCC 微糖 185ml)で糖類が1.7mg程度なので、野菜ジュースは清涼飲料水の中では糖類が多い部類に入ると考えて良いでしょう。
また、今回調べてみて改めて気づいたのは、ビタミン・ミネラルの含有量に大きな幅があることです。
理由を調べてみたところ、カゴメのお客さま相談センターの記事に「季節や生産地の違いで野菜の栄養分にばらつきがでる」という説明がありました。天然のものですから仕方がないところでしょう。
こういう実態ですと、「ビタミンを摂るために」野菜ジュースを摂ることが妥当かどうかはよく考えねばなりませんね。ビタミン・ミネラルの摂取だけを気にするなら、マルチビタミンなどのサプリメントで補充した方がダイエットに重要な「カロリーコントロール」はしやすいように思われます。
野菜ジュースはダイエットと相性が悪い?
野菜ジュースを飲むならご飯を減らすべき?
言わずもがなダイエットで体脂肪を減らすには「消費カロリー>摂取カロリー」となるようにカロリー収支をマイナスにしなければなりません。
野菜ジュースをダイエットに取り入れるなら、その分、他の食品の糖質をカットする必要があります。
一番シンプルなのは食事の際にご飯の量をコントロールすることです。仮に60kcal〜70kcal相当量を減らそうとすると、茶碗1/3程度のご飯になります。
ご飯好きな方には、少々我慢を要求される量かもしれません。
ビタミンを摂るためにご飯を我慢して野菜ジュースを飲むか、ビタミンは、野菜ジュースではなくマルチビタミンなどの「カロリーを気にしなくて良いサプリメント」で賄うか。
このあたりは、自分自身の嗜好や懐具合との相談かもしれませんね。
栄養バランスを気にするなら、他の手段も
ダイエットを行う際は、カロリーコントロールも大切ですが、負けず劣らず栄養バランスを考慮することも大切です。
ついつい、「野菜=低カロリー」のイメージがあるため、野菜ジュースについても低カロリーでヘルシーなイメージを持ってしまいますが、ダイエットに用いるなら、栄養成分やカロリーをよく把握した上で用いることが大切です。
「野菜ジュース」という名称ではあるものの、飲みやすくするために果物の比率が高い(=糖類が多い)製品が多いように思いますし、製品によっては砂糖が添加されているものもあります。
ビタミンが摂れるといいつつ、先程例示した野菜ジュース2製品ではダイエットに必須のビタミンB群(=代謝促進に必要)がほぼ入っていないことに注意が必要です。
カロリーコントロールと栄養バランスの両方を考えるなら、ベースブレッドのような「完全食」と呼ばれる食品を用いたダイエットを行うことも一考です。過去に記事を書いていますので、ぜひお読みください。
==PR==
まとめ
いかがでしたでしょうか。まるで「野菜ジュースを飲むな!」と言っているかのような印象を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
ただ、食物としての「野菜」を食べているのではなく、「色々な食物が混ざっているジュースを飲んでいる」という意識は大事です。
また、「野菜=ビタミン豊富=体に良い」とイメージで捉えてしまいがちですが、ダイエットに必要な栄養素が含まれているかどいうか、という観点でのチェックも大事です。
ダイエットを成功させる秘訣は「正確にデータで把握・記録すること」です。栄養成分をよく確認して適切に食事へ取り入れたいものです。
それでは、今回はこの辺で失礼します。お読みいただきありがとうございました。
- 「野菜ジュースは健康に良い」という先入観が落とし穴。野菜ジュースにはダイエットに必須のビタミンB群が(意外と)含まれていない。
- ダイエットの基本はカロリー管理と栄養バランスへの配慮。イメージ・先入観で食品を選ばず、栄養成分やカロリーをデータで把握しよう。