はじめに
AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。
夏が近くなると「2週間ですっきり!二の腕引き締めエクササイズ」や「いまからでも夏に間に合う!太ももとお尻の引き締めエクササイズ」的な特集記事の謳い文句を良く目にします。
宣伝されている方々を悪く言うつもりではないのですが、この「引き締め」という表現、読者の目を惹くキャッチコピーとしては秀逸ですが、日々筋トレで「筋肉を太くしよう」としている立場からすると、一体「何が」「どう」引き締まるのかが今ひとつわかりにくい言葉でもあります。
今年もまた夏が近づいてきましたので、思うところを書いてみたいと思います。
この記事の結論を先に書きますと以下3点です。本日もよろしくお願いします。
- 筋トレで「部分痩せ」や「たるんだ筋肉が引き締まる」といったことは実際にはおこらない。
- 「引き締める=脂肪を減らす」なら筋トレと食事管理の併用は必須。食事管理から逃げてはいけない。
- とはいえ、腹部は別。やりようによってはウェストサイズは短期間で変えられる(が、これは別の機会に)
筋トレの「引き締め効果」について考えてみる
世間がイメージする「引き締め」とは何か
この「引き締める」という言葉、具体的には「ぷよぷよのお腹」や「二の腕のふりそで」「たるんだ太もも・お尻」をすっきりさせる…すなわち「ねらった部位をサイズダウンさせる」という意味あいで使われることが多いように思います。
減ってほしいのは本来は「ぷよぷよ」「ふりそで」「たるみ」の部分、すなわち皮下脂肪だと思うのですが、ここでは「ねらった部位をサイズダウンさせる」ことがエクササイズの目的であると考えましょう。
では「対象部位をサイズダウンさせる」という目的と「筋肉を鍛える(エクササイズ)する」の間にどういう関係があると世間では思われているのか。これらのエクササイズ特集などを読んで「おそらく世間的にはこのような引き締め効果が筋トレにあると思われているのだろうな」とあんじょうが想像するパターンを2つほど挙げさせていただきます。
筋トレすると「何が」引き締まるのか?
世間では以下のように思われているのではないでしょうか。
- 期待効果1:エクササイズで対象部位の筋肉を動かすと、その筋肉周辺の脂肪が燃焼して部分痩せする
- 期待効果2:エクササイズで対象部位の筋肉を動かすと、弛んだ筋肉が引き締まるので、対象部位がサイズダウンする
以下、順に見ていきましょう。なお、あんじょうは医療関係者ではありませんので、記述は学術的な根拠に基づくものではなく、実体験に基づいた私見です。
筋トレすると部分痩せするのか?
確かに、体の部位によって脂肪が減りやすい部位と減りにくい部位というものはあるとは思いますが、結論としては、筋トレによって「動かした箇所の脂肪だけが減る」ということは考えにくいように思います。
テニスや野球のように片側の筋肉だけを集中して使うスポーツをされている方が良い例になるでしょう。
プロやトップアスリートではなく趣味で嗜む程度の方も含めて、これらのスポーツをされる方の中には左右の腕や肩の筋肉のつき方やサイズが違う方を見かけることはしばしばあります。
しかし、皆さんも体脂肪のつき方が左右で異なる方は見たことがないのではないでしょうか。筋肉のサイズが違ってしまうほど左右の稼働状況が違うのであれば、脂肪のつき方にも差が出ても良さそうなものですが、そうはなってなさそうです。
筋トレ界隈では、ボディメイクにおいて「筋肉の左右差」に悩む話を結構聞くことがありますが、体脂肪の絞り具合が左右で違うといった話は聞きません。(臀部の脂肪がなかなか落ちない…といった話は耳にしますが)
筋トレすると弛んだ筋肉が引き締まってサイズダウンするのか?
勝手なイメージですが、筋トレにより筋肉が大きくなる過程について、「まず最初に弛んだ筋肉が引き締まる」→「その後、徐々に筋肉のサイズが増加する」と理解されている方が一定数いらっしゃるのではないかと思います。
言葉で表現しにくいので絵で描いてみると下図のようなイメージかと思います。
これについては筋繊維一本一本の細胞レベルの話であればなんとも申せませんが、部位全体として外部から第三者が見たときに判別できるほどの「弛み」や「締まり」が生じることは考えにくいように思います。
例えばタニタの体組成計の上位機種には「筋質」を計測する機能があり、筋繊維の密度を評価できるようになっていますが、筋質(密度)と筋肉量(サイズ)と比例・相関するものではないとのことです。
適切な栄養・休息・負荷で筋トレを行うと基本的に筋肉は肥大します。筋肉を構成する筋繊維とその周辺の組織(水分・結合組織・脂肪等)との比率が筋トレによって変化することはあったとしても、それが筋肉のサイズに対しマイナスに働くことはない、…すなわち筋トレによって筋肉が締まる(サイズが小さくなる)ことはない、と考えていただいたほうが良いでしょう。
本当に「引き締め」たいなら知っておくべきこと
「筋トレで引き締まる」とは、こういう状態のことでは?
本来、筋トレなどエクササイズをして「身体が引き締まった状態」になるというのは「筋肉が発達し、なおかつ体脂肪が低く抑えられ、体型にメリハリがついた状態」を指すのではないでしょうか。
つまり下図のような状態ですね。
女性の場合、男性に比べ筋肉が発達しにくいので、実際には「筋肉量を維持したまま体脂肪が低く抑えられ、体型にメリハリがついた状態」と表現した方が良いかもしれません。
ここで申し上げたいのは、結局「引き締める」ためには体脂肪を減らさなければならない、ということです。
「引き締める」ために食事管理は避けては通れない!
体脂肪を減らすために絶対に避けては通れない真実が「摂取カロリー<消費カロリー」の原則です。
これは摂取カロリーを絞っても良いですし、消費カロリーを増やしても良いのですが、「摂取ー消費」の収支がマイナスにならなければ体脂肪は減りません。
しかし残念ながら、筋トレによる消費カロリーは、ウォーキングなどの有酸素運動と比較すると意外と小さいものです。体重や種目にもよりますが、30分程度続けたとしても消費カロリーはせいぜい100kcalに届くかどうか、といったところかと思います。コンビニのおにぎり半個分程度のカロリーですね。
もちろん「筋トレを行なった後は長時間にわたり体の代謝が向上する」といった有酸素運動にない効果もあります。しかし、それを加味したとしても「筋トレを行なうだけ」で短い期間内(例えば2〜3ヶ月等)に体脂肪を減らしてスタイルが変わるようなカロリー消費は期待できないと考えていただいたほうが良いでしょう。
このあたりは先日、筋トレ「だけ」で痩せることの難しさをテーマに記事を書いていますので詳しくはそちらをお読みください。
おわりに
以上、今回は夏になると増える「引き締めエクササイズ」の記事に感じる違和感と、身体を引き締めるなら避けては通れない食事管理について思うところを書かせていただきました。
ボディメイクをするには筋トレも必須ですが、食事管理も避けては通れません。「ダイエット」というとどうしても辛く苦しいイメージがありますが、基本に忠実に、計画的にやればそれほど身体にも精神面でも大きな負担を強いることはないように思います。
正しい情報をもとに夏に向けてメリハリボディを作りあげていただければと思います。
最後になりましたが、ひとつ付け足しさせていただきます。
腕や脚などの「骨と筋肉」だけの部位については、ここまで申し上げたとおり「引き締めエクササイズ」でサイズダウンすることは難しいのですが、筋肉が内臓を包むようにできている胴体(腹部)は少し事情が違います。やりようによっては短期間の筋トレでサイズダウンが可能な場合があります。
このあたりは別の機会にご紹介させていただければと思います。それでは、今回はこのへんで失礼します。お読みいただきありがとうございました。