AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! アラ還トレーニーのあんじょうです。
少し前の話になりますが、書店で「50歳からは「筋トレ」してはいけない」という本を見つけました。
50代・60代に筋トレを勧めているあんじょうとしては気になる題名で、おもわず手にとってしまいました。著者の方には申し訳ないのですが、軽く立ち読みしただけで購入しなかったので、ここで細かく内容を言及することは避けますが、あんじょう的には「そういう考え方もあるかもしれないが、自分はちょっと違うと思う」という中身でした。
当該の本、リンクを貼っておきますので、よろしければご覧ください。
あんじょうのように筋トレを勧める人もいれば、筋トレを問題視する人もいる。物事の捉え方には色々な視点がありますので、違う意見が多数あるのは良いことかと思います。あんじょう自身は50代・60代のアラ還世代が若々しく、「カッコよく」いるために筋トレをお勧めしていますが、逆に「筋トレをすると老ける」という人もいます。(真逆ですね)
そこで、本日は過去から時折ネット上の記事で見かける「筋トレは老化を早める」という説について考えてみたいと思います。
筋トレは老化を早める?
本やネットで見かけた「筋トレは老化を早める」説
先ほどご紹介した本に限らず、筋トレがダイエットや健康増進に逆効果だという説は一定程度、本やネット上で見かけます。
「筋トレよりもヨガやストレッチなどの軽い運動の方が良い」とか「無理せずウォーキング等の有酸素運動で十分」といった「筋トレよりXXXの方が良い」という話であればまだしも、これらは、もっと直接的に「筋トレすると老化が早まるからやめた方が良い」という内容だったりします。
いくつか、最近見かけたものを列挙しますと、
- 某有名人が筋トレを始めてから急に老け顔になった。
- ハードな筋トレで関節がすり減る。動けない体になる。
- 激しい運動をすると活性酸素が細胞を壊す。細胞が壊れる=老化だ。
…といったものです。それぞれ、どういう意見か、それについてあんじょうがどう思うかを列挙します。
「老化を早める」という主張とこれに対する感想
「某有名人は筋トレを始めてから急に老け顔になった」説
具体的には女性トラブルでマスメディアに出られなくなったマッチョな芸人さんについての記事でしたが…。それ以外にもボディビルダーなどハードな筋トレをされている方の顔つきが老けてみえるから、「筋トレをすると老け顔になる」という話がSNSやネット掲示板(質問箱)などにありました。
「老けてみえる」かどうかは主観の問題が大きいとは思いますが、確かにベテラン(つまり40代後半等)のボディビルダーの中には「シワが目立つ」方もいらっしゃいます。
個人差はあると思うのですが、「いくつになっても筋肉は成長する」ものの、「それと肌年齢は別問題」だということでしょう。若い頃は脂肪の増減に合わせて皮膚も伸びたり縮んだりしていたものが、歳をとって縮みにくくなる、ということはあるようです。

これはあんじょう自身がそうなのですが、50代になった頃から、減量すると「皮膚のたるみ」が気になるようになりました。個人差はあると思いますが、あんじょうは減量すると腹筋周りに小ジワがでたり、顔の「ほうれい線」と「あご周辺の皮のたるみ」が目立ちます。減量時の顔が「老け顔」だと言われるとそうかもしれません。
身体にできる小ジワは服を着ていればわかりませんが、顔のシワは確かに気になるでしょう。ただ、これを「老化」と呼ぶことには、あんじょうとしては疑問です。シワが気になるのであれば、体脂肪はある程度残すようにすれば良いのですから。
そもそも、シワが気になるほど減量すること自体、結構な努力が必要ですので、一般的な体力づくり・ボディメイクのために筋トレをされる方は、あまり気にすることはないように感じます。
「ハードな筋トレで関節がすり減る」説
ハードなトレーニングを行うと関節がすり減ったり、腱が傷ついたりする。結果的に膝や腰、肩に痛みを感じるなどの老化現象の原因になる…という主張なのですが、これは、確かによく留意しておく必要があります。
高重量トレーニングを長期間続けると、確かに関節や腱への負担が心配になります。「筋肉は何歳になっても成長する」のですが、関節は消耗品のようなところがあり、負担をかけすぎると怪我につながります。
特に50代以降では、関節軟骨の摩耗が進みやすく、過度な負荷が炎症や慢性的な痛みを引き起こす可能性があることには留意しておかねばなりません。
ただ、これは自分の体力や骨格に見合わない「過度な」高重量トレーニングを行なった場合です。適切な重量設定・回数設定をしたトレーニングであれば過剰に心配する必要はないと思われます。
「激しい運動を行うと活性酸素が発生し細胞が老化する」説
激しい運動を行うと、体内の酸素消費量が増加し、それに伴い「活性酸素」の発生も増加する。活性酸素はDNAや細胞を傷つけるため、激しい運動は老化を促進する…という主張です。
調べたところ、「激しい運動で活性酸素が増える」「活性酸素が細胞を傷つける」という実験結果はあるようです。ただ、あくまでも細胞レベルの話です。
細胞は新陳代謝、つまり常に「死んで・生まれて」(あるいは「壊れて」「修復して」)を繰り返しているので、身体が総体として老化するかしないかは、そのバランス次第でしょう。
運動により活性酸素が増えるという話とは逆に、「適度な運動は体内の抗酸化作用を活性化させる」という話もあります。これはつまり「アンチエイジング」です。
あくまでも細胞レベルの話ではありますが、「過度であれば老化を早め、適度であればアンチエイジング効果がある」と考えておけば良いように思います。
筋トレは、むしろ老化を遅らせる?
老化の定義
そもそも、「老化」といったときに、何を指すのか曖昧なところがあるので、ここで整理しておきましょう。先に紹介した説には、大きく3つの「老化」が混ざっていると思います。
1. 見た目の老化
皮膚の弾力の低下、顔や身体のシワやたるみ、脂肪量の増減変化などが挙げられます。
2. 運動機能の老化
筋力低下、関節の可動域減少、姿勢の変化、各部位の不調(痛み等)などが挙げられます。
3. 細胞レベルの老化
DNAの損傷や活性酸素による酸化ストレスにより、細胞分裂の速度低下・停止などが挙げられます。
筋トレは、老化に効くのか
ここまで「筋トレは老化を促進させる(かもしれない)」という話を書いてきましたが、次に筋トレによる「老化を遅らせる」効能について触れたいと思います。
筋肉量と基礎代謝の維持
人間の身体は30代以降、何もしなければ筋肉量が毎年0.5~1%ずつ減少していくと言われています。これがいわゆるサルコペニア(加齢性筋肉減少症)の原因となり、基礎代謝の低下、肥満、生活習慣病のリスクを高めます。
適度な筋トレを継続すれば筋肉量を維持・向上させ、代謝を高めることができ、サルコペニアやフレイルの予防として有効であることが厚生労働省等からも発表されており、運動機能の老化に対し有効であると考えられます。
成長ホルモンやミオカインの分泌
筋トレを行うと、成長ホルモンやマイオカインと呼ばれるホルモンの分泌が促進されます。
- 成長ホルモン
筋肉の修復・再生を促し、肌の弾力維持や骨密度の維持に役立ちます。 - マイオカイン
抗炎症作用があり、糖代謝の改善、認知症予防、免疫力向上に寄与すると考えられています。
また、エンドルフィンやセロトニンといった、ストレス軽減やうつ予防に効果的なホルモンの分泌も促されるため、更年期うつなどの予防にも効果的です。
循環器系への好影響
適度な筋トレを行うことで、循環器系が刺激され、血管年齢の若返りや血圧の改善が期待できます。ただ、現状ですでに血圧が高い方が筋トレを行うことは程度によっては逆効果になる可能性があるため、強度には注意が必要です。
これらの効能を考慮すると、筋トレに伴う身体への影響は、「老化を加速させるもの」と「老化を遅らせるもの」があるが、上手に取り組めば、トータルで「老化を遅らせる」ことができるのではないか、と考えられます。
まとめ:50代・60代が「若さ」を維持するために
ここまで、筋トレが「老化を促進する」側面と「老化を遅らせる」側面の両方を見てきました。一言でいえば、要は筋トレのハードさに関する「程度の問題」だということに帰結するかもしれません。
「過ぎたるは及ばざるが如し」と言いますが、まさに、そのとおり。
適度な筋トレを行えば、代謝が向上したり筋力が向上して若々しさを保てる一方、ハードにやりすぎると、疲弊して身体を痛めたり、活力がなくなっていく…、ということでしょう。
この「適度」という程度感が曖昧ではありますが、目安としては「怪我につながらない」かつ「数日で回復する」ことだと思います。そのために気をつけるべきことは以下2点です。
(1)怪我につながるトレーニングは避ける
- 無理な重量設定を避ける
- 関節に無理のないフォームで行う
(2)栄養と休養をしっかりとる
- 抗酸化作用のある食品を摂取する(ビタミンC・E、ポリフェノール)
- 睡眠(休養)をしっかりとる
これらを意識して、筋トレでアンチエイジングに取り組んでいただければと思います。
それでは、本日はこの辺で失礼します。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。