筋肉をつけるには「タンパク質」よりも「ごはん」が大事?

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筋肉をつけるにはタンパク質よりごはんが大事?
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はじめに

 AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。最近、テレビでも見かける有名人がYouTubeで「身体を大きくしたいなら、(アミノ酸系サプリを摂るより)まず米を食べろ!」という趣旨の発言されているのを見かけました。

 思えば、プロテインや筋トレが今ほどメジャーでなかった昔の力士が「1日に一升の米を食べて大きくなった」ような話を聞いた記憶がありますし、昔の農家の食生活は「摂取カロリーの内訳は、主菜のごはんが中心で、副菜は一汁一菜の質素なもの」であったとも聞きます。それでハードな農作業をされていたわけですから、理屈はともかく状況証拠(?)から身体づくり(=筋肉量増)には、まず米という話も、それなりに真実であるように感じます。

 そこで本日は、日本人の生活に深く根差しつつも最近軽視されがちな「ごはん=米」について考えて見たいと思います。この記事の骨子は以下のとおりです。

  • 日本人の食生活は「高炭水化物食」。
  • ご飯にもタンパク質は含まれるが、それだけで必要量をまかなうのは難しい。
  • 体づくりに「ごはん」が重要な理由。
  • どういう食生活が良いのか

日本人の食事と栄養バランス

 日本人の伝統的な食生活は、主に米を中心として魚、野菜、大豆製品を組み合わせたもので、洋食に比べ低脂質であることが特徴的です。

魚や大豆製品で摂取するとはいえ、肉中心の洋食に比べるとタンパク質の割合も低いため、いわば「高炭水化物食」であると考えて良いでしょう。

 その炭水化物の中心となるのが「ごはん」です。

ごはんの主な栄養素は以下のとおりです。

ごはん1膳(150g)あたりの栄養素
  • エネルギー 234kcal
  • タンパク質 3.8g
  • 脂質 0.5g
  • 炭水化物 55.7g

 ほぼ炭水化物なのですが、タンパク質もそれなりに含まれています。一方、脂質はほとんど含まれておらず、ボディメイクにおいては「低脂質・高カロリー」なエネルギー補給食としては優秀な食材であることがわかります。

 最近はごはんではなくパンを食べる方も多いと思いますが、食パンを比較に出しますと6枚切の食パン1枚で以下のような内訳です。(商品によって幅がありますので、目安としてご理解ください)

食パン1枚(6枚切)あたりの栄養素
  • エネルギー 162kcal
  • タンパク質 5.3g
  • 脂質 2.4g
  • 炭水化物 29.9g

いかがでしょうか。ごはんと比較するとタンパク質・脂質ともに比率が高いですね。パンとごはんは洋食と和食の栄養バランスの縮図なのかもしれません。

ごはんだけで必要なタンパク質が摂れるか?

 1日に必要なタンパク質摂取量は?

 筋肉の成長にはタンパク質が不可欠です。厚労省の食事摂取基準では、(成人男性が体重65kg前後、成人女性が体重50kg前後が前提になっている統計で)1日に必要なタンパク質量は男性で65g,女性で50gと言われています。つまり、体重1kgあたりタンパク質1g程度が必要ということです。

 ただし、これは日常生活を送る上での必要摂取量でして、筋トレで体づくりを行うなら、もっとたくさんのタンパク質が必要です。諸説あるのですが、一般には概ね体重1kgあたりタンパク質2g程度の摂取が望ましいとされています。

 ごはんのみでタンパク質を摂ろうとすると、どうなるか?

 ごはん100 gあたりタンパク質2.5gと少量ながら、ごはんにもタンパク質が含まれています。100gあたり10〜25gのタンパク質が含まれる肉や魚に比べると少ないものの、一般にタンパク質が豊富とされる乳製品の一部(牛乳やヨーグルト等)は100gあたりタンパク質3〜4gしか含んでいないものもありますので、それと比べるとそれほど悪い数字ではないように思います。

 余談になりますが、消費者庁が定めている食品表示基準によると「食品100gあたりタンパク質含有量が16.2g以上」のものを「高タンパク」と表示できるそうです。これと比べるとごはんのタンパク質含有量は、確かに低いですね。

…さて、話をもどしましょう。

 成人女性を例に、1日に必要なタンパク質を50gとした場合、それをごはんだけで取ろうとするとどうなるでしょうか。

 1日の必要摂取量50g ÷ (タンパク質含有量2.5g/ごはん100g) = ごはん 2,000g 

…となり、茶碗普通盛り(150g)なら13杯/日、どんぶり大盛り(250g)なら8杯/日となります。

ちなみに、摂取カロリーは31,200kcal(=2000kcal×156kcal /100g)になります。

 体重50kgの女性が朝・昼・晩、毎食どんぶり大盛りを2杯弱食べる、というのは、なかなかシュールな感じがします。大食い選手権に出られるフードファイターの方であれば、そのくらい食べる方もいらっしゃるのでしょうが、一般的には明らかにカロリーオーバーとなります。ましてや、筋トレで筋肉を増やそうとするのであれば、その倍程度のタンパク質が必要となります。いかに日本人が農耕民族で歴史的に米食に馴染んでいるとはいえ、ごはんだけでタンパク質を摂るのは非現実的なようです。

 では、なぜ、あえて「米を食え」という話になるのでしょうか

エネルギー補給の重要性と炭水化物

 筋トレでボディメイクを行う場合、ねらいが「筋肥大」であっても「除脂肪(ダイエット)」であっても、筋トレで高いパフォーマンスを発揮するために多くのエネルギーを必要とします。

 このエネルギー源として炭水化物は非常に重要な役割を担います。

 炭水化物は体内でグリコーゲンに変換され筋肉や肝臓に蓄えられ、トレーニング中のエネルギー源として利用されます。

 特に筋トレのような無酸素運動ではエネルギーとして(基本的には)脂質は使えません。主に筋肉に蓄積されたグリコーゲンを使用します。そのため、炭水化物の摂取が不足し、筋肉内のグリコーゲンが枯渇すると筋トレのパフォーマンス低下が起こってしまうのです

 十分な運動(=刺激)が筋肉に与えられなければ、筋肉は発達しません。また、最悪の場合、枯渇したエネルギーを補うための材料として筋肉が分解されてしまい、増えるどころか筋肉を減らす結果にもなりかねません。

  炭水化物を摂り過ぎると、体脂肪として蓄積されてしまうことを懸念される方がいらっしゃいます。確かにこれは真実ですが、実生活上は炭水化物と脂質を一緒に摂取しているので、炭水化物が脂質に変換される以前に、摂取した脂質がそのまま体脂肪として蓄積されているのです。

 このことを念頭に置くと、不要な脂質を抑制し、炭水化物はむやみに抑制せず、活動に必要十分な量を摂取した方がメリットが大きいことがご理解いただけるかと思います。

 前述の「米を食え」の話は、所謂「増量期(=筋肉をつけるために多少体脂肪がつき体重が増えても良い)」における話でした。ですので、筋トレのパフォーマンスを上げるためにタンパク質もさることながら、高強度な筋トレをしっかりできるようエネルギー源である炭水化物をしっかり食べろという意図があったものと考えられます。

身体づくりにおける理想的な食事バランス

 現代の体づくりにおいては、筋肉の成長とエネルギー補給を考慮した食事バランスが重要です。いわゆる「PFCバランス(P:タンパク質、F:脂質、C:炭水化物)」というものです。一般にはこの比率が「P:F:C=1:1:2」であることが望ましいと言われています。もう少し具体的に示すと、厚労省の食事設置基準によると、

  • 炭水化物: 総摂取カロリーの50-60%
  • タンパク質: 総摂取カロリーの20-30%
  • 脂肪: 総摂取カロリーの20-30%

と言われています。

 このようなバランスの取れた食事プランを実践することで、筋肉の成長とエネルギー補給を最適化し、健康的な体づくりが可能になります。

 ただ、このバランスを通常の食事だけで実現しようとすると、なかなか難しいことも事実です。

 こういった場合、最近多数出回るようになってきたボディメイク向けの宅配弁当(宅食)を上手に取り入れることも一案です

 具体的には「マッスルデリ」や「筋肉食堂DELI」など。加工食品ではありますが、こういった商品を食事の一部に(例えば夕食などに)上手に取り入れつつ、残りの食事(朝・昼など)で不足する栄養素はプロテインやマルチビタミン等のサプリメントでカバーするようにすれば比較的、カロリーと栄養バランスの両立が図りやすくなります。

 ボディメイクに取り組む方は、ぜひお試しください
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まとめ

 ボディメイクにおいて、適切な栄養配分と量で食事を摂ることは非常に重要です。「プロテインを飲んでいるから筋肉がつくだろう」と考えるのは早計で、身体を動かすための炭水化物、ホルモンなどと影響の深い脂質など、摂取過多には気をつけつつもバランスよく摂取することが何よりも大切です

 それでは、今回はこのへんで失礼します。最後までお読みいただきありがとうございました。

  • ボディメイクのためには、タンパク質だけ多く摂取しても不十分。炭水化物をしっかり摂り、運動パフォーマンスを十分に上げてこそ、効果がでてくる
  • その他の栄養バランスももちろん大切で、最近であれば「完全食」と言われるベースフードやHuelなどを上手く取り入れるのも良いアイデア
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