AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。
先日書店で筋トレ・ダイエットのコーナーに立ち寄ったところ、相変わらず「楽々ダイエット」「楽々筋トレ」といった本が多数並んでいました。
一方で、違う本を手にとると「筋トレでは限界まで追い込まないと筋肥大しない」といったことが書かれていまして、筋トレのことを良く知らない方からすると、「どちらが本当なの?」と思われるかもしれません。
…ということで、本日のお題は「楽な筋トレ」についてです。
本日の記事はこんな方に向けて書かせていただきます。
- 今から筋トレを始めようと思っている方
- あまり本格的なことはしたくない、できれば手軽にやりたいと思っている方
- 楽して結果を出したい方
長々とお読みいただいて期待外れだと申し訳ないので、先に結論をご紹介しておきます。
- 筋肉は「キツイ、限界だ」と感じるまで動かさないと発達しない。つまり、自分にとって楽だと感じる筋トレでは効果は期待できない。
- ただし、効果として「筋肥大」を期待する場合と「筋肉維持」を期待する場合では、必要となるキツさには差がある。当然、自分の目的にあったキツさを選ぶのが合理的。
- また、負荷の重量や回数、あるいは種目や方法(テクニック)によって、効果はさほど変わらないのにキツさに差がでてくる場合はある。
- どうせやるなら、「無駄なく無理のない」キツさの筋トレをしましょう。
それでは、参りましょう。
そもそも、「筋トレの効果」とは?
最初にお断りしておきたいのですが、この記事でお話しする「筋トレの効果」とは「筋力アップ・維持」と「筋肥大・筋量維持」のことを指しています。世間的には筋トレに「痩せる」という効果があるような論調もありますが、この記事では「痩せる」は効果に含めないことにさせてください。
ダイエットの際に筋トレを併用するのは、今や定番となりましたが、筋トレ自体によるカロリー消費は有酸素運動ほどではありません。
ダイエットにおいて筋トレを併用する主なねらいは「体重を減らした際に、筋肉まで減らさないように(脂肪だけ落とせるように)」するためです。
ですので、これ以降は「楽な筋トレで効果を出すにはどうしたら良い?」という問いは「楽な筋トレで筋力や筋肉を増やすにはどうしたら良い?」「楽な筋トレで、ダイエット時に筋肉を落とさないようにするには、どうしたら良い?」という意味に解釈していただければと思います。
「楽な筋トレ」で筋力アップ・筋肥大できるか?
筋肉は「限界」まで動かすことで強く・大きく発達する
世間一般によく聞く話でありながら、皆さん「スルー」しがちなのがこの話です。
若干乱暴な説明になりますが、筋肉が限界まで追い込まれると、「生命の危機」を感じた身体はホルモンを分泌し、体内に取り込まれた栄養素を使って筋肉や骨を強化しにかかります。これが人体に備わった「筋力強化・筋肥大」の仕組みです。
いわば筋トレは体の防衛本能を呼び起こすきっかけであり、「スイッチを入れている」行為にすぎません。
しかし、この「スイッチ」はなかなかONにならないので、苦労するわけです。
一般人は筋肉を「限界」まで動かせない
残念ながら、人が自分の意識下で「限界だ」と思っても、それは肉体的な「限界」ではありません。腕立て伏せや腹筋運動(クランチなど)をされた方は経験がおありかもしれませんが、「これ以上反復できない」と思っても、十秒程度休めば、また何回かは反復できてしまいます。
これは、十秒程度で身体が回復したというよりも、それだけ全力を出しきれていない(=限界を迎えていない筋繊維が残っている)からなのです。
筋トレの解説でよく「この動作を10回、3セットやりましょう」というように、複数セット繰り返すよう指定されるのは「使い切っていない筋繊維をできるだけ使い切る」ための工夫です。
実際、1セット目で「限界だ」と思う回数やったとしても、2分ほど休んで2セット目をやると1セット目の8割程度の回数できてしまうものです。また、3セット目でも1セット目の6〜7割程度の回数ができてしまいます。つまり、1セット目は、本当の意味での肉体の限界ではなかったということです。
筋肉は「限界」まで追い込んだ量(ボリューム)で発達が決まるというのが最近の定説
一般に「トレーニングボリューム理論」と言われていますが、筋肥大に関しては、筋トレを行い限界まで反復した際の「重量×回数/セット×セット数」が多いほど(上限はありますが)筋肥大の効果は高い、という理論があります。
つまり、しんどい思いをすればするほど(上限はありますが)、筋肥大効果は出る、ということでして、逆を言えば限界に達しない「楽な筋トレ」をしている限りは、いくらやっても筋肥大については効果は大きくならない、という話になります。
これは、考えてみれば当たり前でして、もし「軽い負荷」で「限界がこない運動量」をこなすだけで筋肥大するならば、毎日通勤するだけで足の筋肉は逞しくなりますし、カバンを持つ腕もムキムキになるはずです。
「筋力アップ・筋肥大させたいなら、筋肉は限界まで追い込む必要がある」というのが避けられない鉄則
「楽な筋トレ」でも筋肉量維持くらいならできる?
筋肉量を維持するために「限界まで」行う必要があるのか?
では、筋肥大ではなく、筋肉量維持のためであっても、限界までやる必要があるのでしょうか。
答えは「限界まで行う必要はある。ただし、追い込み方は必要最小限でOK」となります。
筋肥大が目的の場合は、できれば1回の筋トレで1部位あたり最低3セットから6セットで、1週あたりにすると12セット〜18セット(3セット/回なら週4回、6セット/回なら週2〜3回)くらいの量をこなしたいところです。
しかし、目的が筋肉量維持だけであれば、ダイエット期間中など筋肉量が落ちやすい状況であっても(1セットを真剣に追い込む必要がありますが)1部位あたり1セット〜2セット、週2回程度頑張れば大丈夫でしょう。
これは、目的が「ダイエット」の場合でも、「老化予防」の場合でも一緒です。
先ほどの「スイッチ」の例えで言えば、筋肉を増やすスイッチをONにしなくて良いので、筋肉を減らすスイッチをOFFにすることができれば良いのです。身体にとっては「増やす」よりも「減らさない」方が、エネルギーがいりません。そのため、その指令を出すための「刺激=筋トレのボリューム」も少なめで良い、ということです。
筋肉量維持のためには、筋肥大をねらうときほど頑張る必要はない。ただし、やはり「限界」まで反復することは必要
回数・重量設定で「楽さ」が変わることを知っておきましょう
「高重量低回数」と「低重量高回数」の違い
筋トレの重量・回数設定において「高重量低回数」と「低重量高回数」という言葉を聞いたことがありますか。
明確な定義はないのですが、概ね1セット5回〜8回が限界の負荷(ウェイト等)で行うのが「高重量低回数」の筋トレ、概ね1セット20回以上(40回など)が限界の負荷で行うのが「低負荷高回数」の筋トレと考えていただければ結構です。(このあたりの数値は人によって見解に幅があります。ご容赦ください)
この2種類、どちらも真剣にやるとそれなりに「しんどい」のですが、トータルで考えると「高重量低回数」の方が「低重量高回数」より楽に感じられる人が多いかもしれません。
例えば「高重量低回数」でショルダープレスを行う場合、片手20kgのダンベルを反復回数8回だとすると、トレーニングボリュームは20kg×8回/セット=160kg /セット。反復1回に3秒かけるとしても、所要時間は30秒弱。
一方「低重量高回数」で同じくショルダープレス行う場合、片手4kgのダンベルで、「高重量低回数」の筋トレと同じトレーニングボリューム(=160kg /セット)をこなそうとすると、「160kg /セット÷4kg=40回/セット」となり、40回も反復しなければならなくなります。仮に反復1回3秒かけるとすれば、所要時間は3秒×40回=120秒。つまり2分も動作する必要がでてきます。
同じトレーニングボリュームなら同じ効果だと仮定した場合、どちらが「楽」でしょうか。
4kgといえど40回も反復すると、筋肉が張って痛くなってきます(俗に言うパンプアップの状態です)。しかも2分も続けると無酸素運動というより有酸素運動に近くなってきますので、息もあがり汗だくになってきます。それに比べると高重量低回数のほうが、耐える時間が短い分、「楽」と感じる人が多いかもしれません。
世間では筋トレ(ストレングストレーニング)と似て異なるトレーニングとして「クロスファンクショナルトレーニング」や「H.I.I.T.(High Intensity Interval Training=高強度インターバルトレーニング)」などが有名ですが、これらは一定の筋力と心肺機能を要求します。つまり、息が切れるのです。そういったトレーニングと比較してみても良いでしょう。
筋トレでも息は切れるのですが、動作時間が短いので息を整えるのにもさほど時間はかかりません。そういったことを考慮すると、「楽な筋トレ」で効果を出そうとするならば(筋力維持程度の強度であれば、という前提ですが)、敢えて高重量の負荷を扱い、短い時間で集中して行うことが地道ながらも確実な方法なのかもしれませんね。
高重量低回数の筋トレは、1セットあたりの時間が短いので、ある意味「楽」なトレーニングかもしれません(註:人により受け止めには差があると思われます)
まとめ:無理なく無駄なく、目的にあった強度の筋トレを
以上、本日は、世間で言われる「楽な筋トレで効果が期待できるか」どうか、あるいは、「筋トレは限界まで追い込まないと効果がないのか」についてについて解説してみました。
結論的には、筋トレは「限界まで追い込む」ことが必須ではあるものの、追い込み具合は筋トレの狙いとするところにより強弱(程度)があり、筋肉量の維持程度であれば、比較的「楽」な量で目的は達成できる、というお話しでした。
それでは、本日はこの辺で失礼します。最後までお読みいただきありがとうございました。