パーソナルトレーニングで事故が増加中!筋トレ初心者は利用にあたって要注意

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パーソナルトレーニングで事故が増加中
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はじめに

 AROUND60 FITNESS(ロクマルフィット)をご覧いただきありがとうございます! 筋トレ歴10年の副業ライターあんじょうです。この記事では先日(2024年4月25日)に公表された消費者安全調査委員会の「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害 に係る事故等原因調査について(経過報告)」(以下、「調査報告」と記述します)の内容を踏まえ、「パーソナルトレーニング」のメリット・デメリットと利用する際の留意事項について個人の考えを書きたいと思います。

 近年の筋トレブームでRIZAPを皮切りにパーソナルジムが急増し今や一定のシェアを占めるようになっていますが、急増しただけに色々と問題もあるようです。

 これからスポーツジムに通おうとされている方、特にパーソナルジムを選択肢の一つと考えている方に参考にしていただければと思います。

調査報告の内容

 概要をざっくりまとめると以下のようになります。もし原文を確認したい方がいらっしゃれば以下リンク先をご覧ください(https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_024/assets/csic_cms201_240425_04.pdf

経緯

 筋トレブームによる需要増加を背景にパーソナルトレーニングの事故が増加。サービスの特性を踏まえると消費者による事故回避が難しいことを踏まえ消費者庁が2023年5月から調査に乗り出した。今回はその中間報告の位置付け。

報告内容

 報告の内容(判明した実態)は以下箇条書きのとおり。結論は出さず「引き続き事故情報の分析や調査を進めサービスの安全と再発防止策を進める」としています。

  1. データは2018-2023年のスポーツジムにおけるトレーニング関連の事故データ(N=505 )からパーソナルトレーニングに関連するものを抽出して分析。
  2. 母数のうち、パーソナルトレーニング関連の事故は209件(=209/505=41%)であり、うち、消費者安全法の重大事故と認められたものは9件。パーソナルジム関連の事故は増加傾向にある。
  3. パーソナルトレーニング関連の事故の被害者のうち、治療に1か月以上を要したものは61件(29%)。中には背骨や腰椎を骨折したというものも。
  4. パーソナルトレーニング関連の事故の被害者の性別分布は、女性が91%を占めている。パーソナルトレーニング関連の事故の被害者の年代分布は、40歳代が最も多く、次いで50歳代、30歳代、20歳代と続いている。
  5. 原因の調査については発生当時の状況がよくわからないものが多く、事業実態も多様性があるため、関係者へのアンケート等で今後実態確認に努める。

 上記に記載のあった「パーソナルジム関連の事故が増加傾向にある」という話の根拠となる事故件数の推移は以下グラフのとおりです。確かにスポーツジムにおけるトレーニング関連の事故に占めるパーソナルトレーニングの割合は増加傾向にあるように見えます。(図は調査結果の中間報告書から抜粋の上、比率を加筆したもの)

パーソナルトレーニング事故数推移
事故件数情報データバンクに登録された事故件数の推移

事故原因の考察

どんなトレーニングにもメリット・デメリットはある

 考察に入る前にメリット・デメリットを整理しておきましょう。報告書を元にすると以下のように整理されるように思います。

メリット

  • 個々のニーズや目標に合わせたトレーニングが可能であり、カスタマイズされたメニューが提供される。
  • トレーナーによる密接な指導が受けられ、効果的なトレーニングが期待できる。
  • 個別指導のため、モチベーションの維持やトレーニング効果の最大化が見込まれる。

デメリット

  • トレーナーのスキルや経験にばらつきがあり、成果はトレーナーの質に左右される可能性がある。
  • 1対1の関係性ゆえ指導側に頼る傾向があり、疑問に思っても断りにくい。
  • パーソナルトレーニングは一般的に集団指導よりも高額であり、費用負担が大きい。

 メリット・デメリットの1番目と2番目はそれぞれ裏返しの関係ですね。何事にもメリット・デメリットはあるので利用する際はその点をよく理解しておく責任は利用者側にもあるように感じます。

事故の原因は何か(あんじょうの私見)

今回の報告書には結論は書いていないものの、おそらく最終報告の段階では事故の直接的な原因として「パーソナルトレーナーの質が悪い」ことと「利用者が指導側に依存する傾向がある」ことにまとめられそうな雰囲気です。

 消費者庁は消費者の味方ですから(?)、おそらく利用者側の原因を問題視する可能性は低く、事業者側(つまりスポーツジムや業界団体)側にトレーナーの質の均一性を担保するような勧告がなされるものと想像されます。

あくまでも「想像」でして、結果はわかりませんが…。

パーソナルトレーナー側の対策だけで良いのか?

 例えばパーソナルトレーナーに資格制度ができるなどして、指導品質の均質化が進めば、フィットネス産業のサービス向上につながると思いますので、利用者としては良い方向だと思われます。ただ、あんじょう個人としては「それだけで良いのか?」とも思うのです

 筋トレが「自分の身体を鍛える」ものである限り、現実に身体の中で何が起こっているかは当人にしかわかりません。知識や経験のあるパーソナルトレーナーは、トレーニー(=トレーニングする人)の運動状態を外部から観察して「この柔軟性・骨格だとこの種目を選択してもケガのリスクは低いだろう」とか「本人はキツイと言っているが、まだこの挙上スピードでバーベルを持ち上げられているので、あと2回は動作反復できそうだな」といったことを判断しますが、あくまでも外部から見て判断しているだけです。

 身も蓋も無い言い方になりますが、トレーニングしている本人ではないので本当に大丈夫かどうかは結局のところのところトレーナーにはわかりません

 そのため、パーソナルトレーニングにおいてはトレーナーとトレーニーの間のコミュニケーションが非常に重要になります。

 つまり教えてもらう側(=トレーニー)にも、それなりに自分の身体の状態を正しく把握し、トレーナーに正確に伝えるスキルが要求される、ということです。 

利用者はどうすれば良いか

トレーナーとコミュニケーションが取れる知識を身につけましょう

 「利用者はどうすれば良いのか」を一言で表現すると「トレーナーとしっかりしたコミュニケーションができるように知識を身につけましょう」ということになります。

知識がないから高いお金を払ってトレーナーにお願いしているのですが…

それはそうなのですが、以下の「例え」でご理解いただけないかなと… 

 例えば、「家庭教師」や「ピアノ教室」で考えてみましょう。当然、学業の成績が良くなったりピアノが上達するかどうかは教師の教え方次第に拠るところも大きいのですが、だからといって教えられる側が何もしなくて良いわけではありません。

 レベルアップするためには教えられる側も真剣に取り組む必要がありますし、疑問に思ったことや思うようにいかない点は教師とコミュニケーションをとって打開策を講じる必要があります。

 上記は「習い事」一般に共通する「上達のコツ」ですね

 家庭教師やピアノ教室で身体的にケガをすることは一般的にはないと思いますが(ひょっとすると手の使いすぎで腱鞘炎になったりするかもしれませんが)、トレーニングの場合は「レベルアップ」以外に「マイナスにならない(ケガをしない)」ためにも、このコミュニケーションがより大切になってきます。

 またコミュニケーションのためには自分の身体がどういう状態にあるのか、関節や筋肉に違和感を感じているのか、生活の状況や体調に変化があるのかといったことを言語化してトレーナーに伝えられなければなりません。そのためにもトレーニングや身体についての知識はある程度あったほうが良いことはご理解いただけるかと思います。

「効果もリスクも個人によって異なる」ことを認識しましょう

 今の時代、正誤はともかくとして、知識だけなら書籍やPC/スマホで簡単に手に入ります。ただ、筋トレやダイエットなど身体に関することで厄介なのは「何が本当かわからない」ことです。

 筋トレにしてもダイエットにしても毎月新しいテクニックに関する本が出版され、インターネット上にも「どのトレーニング理論が正しいか」といった記事が多数見受けられます。

 なぜこのようなことになるかと言えば、「人の身体や人の生活パターンは千差万別で、同じことをやれば同じ結果が出るとは限らない」からです。

 例えばある記事では「マシントレーニングよりフリーウェイトトレーニングの方が効果が高い」と主張しており、またある記事では「中高年はケガしやすいフリーウェイトトレーニングよりマシントレーニングがおすすめ」と書かれています。

 この状況で「今からマッチョになりたい50代筋トレ初心者はマシントレーニングかフリーウェイトトレーニング、どちらを選ぶべきか」というと、どちらも正解でどちらにも問題があることになります。

 フリーウェイトを選択してケガをした結果トレーニングができずマッチョになれないかもしれませんし、マシントレーニングだけでは筋肉の発達が遅くなり「マッチョ」と呼べるレベルには至らない可能性もあります(初心者であればそれほど明確な差はないと思いますが)。

 このようなことを念頭に「この記事に書かれているとおりやっていれば間違いない」といったことは筋トレやダイエットの世界ではなかなか無いことを前提にして、「なぜこのようにしたら、こういう結果になるのか」という「理屈・原理」についての知識を勉強しつつ、何かひとつのことを盲信しないように気をつけておくことが大切でしょう。

最後は「自分の身体に訊いてみる」ことが大事

 元吉本興業の芸人で現在タレントであるなかやまきんに君(中山翔ニ選手)の持ちネタに「おいっ!オレの筋肉!○○するのかい?しないのかい?どっちなんだいっ?」という「筋肉に訊いてみる」ものがあります。

 単なる「ギャグ」といえばそうなのですが、あんじょうとしては、このギャグ、筋トレの世界においては正しいことを言っているように感じます。

 身体の中で起きていることは自分自身にしかわかりません。もちろん、自分自身にもわからないことも多々ありますが、少なくとも外から観察しているトレーナーよりも自分の方が身体の内部に関することはよくわかるはずです。

 「自分の身体の違和感や充実感を内観し、知識を元にトレーナーとコミュニケーションする」ことができればパーソナルトレーニングの効果・恩恵を最大限活かすことができると思います。

まとめ

 以上、本日は消費者庁の消費者安全調査委員会から「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害 に係る事故等原因調査について(経過報告)」が発表されたことを受けてパーソナルトレーニングのメリット・デメリットと利用の際の留意事項について書いてみました。

 最後にお伝えしたいことをまとめておきます。筋トレ初心者の方でパーソナルトレーニングを受けようと考えている方の参考になれば幸いです。本日もお付き合いいただきありがとうございました。

  • パーソナルトレーニングで事故が増加中。消費者庁の報告書では明記はないものの、パーソナルトレーナーの質に一因があるとの見解でまとまる可能性。
  • パーソナルトレーナーには資格認定もなく「玉石混交」な状態。ただ、事故の原因をそれだけのせいにすることには違和感あり。
  • 利用者側も正しい知識を身につけるとともに自分の身体に起こっていることを注意深く観察し、トレーナーとしっかりしたコミュニケーションをとることが肝要。
  • 結局、自分の身体のことは自分にしかわからない。最後は「自分の身体に訊いてみる」ことが大事。
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